米軍「タイフォン」鹿児島に一時展開 中共念頭に抑止力強化へ

2026/06/23
更新: 2026/06/23

6月22日から、多国間の大規模共同訓練「ヴァリアント・シールド」が正式に開始された。

日本で行われる合同演習に合わせ、米軍は巡航ミサイル「トマホーク」を発射できる中距離ミサイルシステム「タイフォン」を、鹿児島県の海自鹿屋航空基地に一時展開している。演習後、この発射システムは在日米軍基地で保管する見通しだ。

トマホークの最大射程は約1600キロ。鹿児島県から発射した場合、中国本土の一部が射程圏内に入る計算だ。

安全保障戦略専門家、陳文甲氏は「今回、アメリカがタイフォン中距離ミサイルシステムを日本に展開した最大の目的は、第一列島線における抑止力を強化することにある」と述べた。

これまでアメリカは、中距離核戦力全廃条約(INF条約)の制約により、地上発射型の中距離ミサイルを配備できなかった。アメリカは2019年に同条約から離脱したが、中国共産党(中共)政権を刺激することを避けるため、日本への中距離ミサイル配備には慎重な姿勢を取ってきた。

陳氏は、今回、アメリカが軍事演習に合わせて日本にタイフォンを展開したことで、第一列島線における打撃・防衛能力は大きく高まると見ている。

「アメリカにとって、これは単に日本を防衛するという意味にとどまらない。日本の米軍基地を、攻守両面に対応する前方展開拠点へと位置づける動きだ。同時に、日米同盟の実戦能力を高める狙いもある。言い換えれば、アメリカは前方配備を通じて、台湾海峡や東シナ海で突発的な事態が起きた際、迅速に対応できる軍事ネットワークを構築しようとしている。これは中共の軍事行動を直接けん制するものだ」

鹿屋航空基地は九州南部に位置し、第一列島線上の要衝にあたる。今回の展開は、東シナ海や台湾海峡に対して戦略的な圧力を及ぼすことになる。

陳氏は、日本が台湾有事を想定した準備を進めているとの見方を示している。

「日本はすでに、台湾海峡での有事を念頭に置いた準備を進めている。単なる防衛にとどまらず、米軍との共同作戦体制を形成しつつある。これは、台湾有事が日本の安全保障に影響するという認識が、もはや概念ではなく、具体的な軍事配置へと移っていることを示している」

一方、中共について、陳氏は今回の展開を受け、3つの戦略的調整を進めるとみている。

「第一に、防空・ミサイル防衛システムの強化。第二に、軍事配置を分散させ、機能停止のリスクを下げること。第三に、自国のミサイル戦力と長距離打撃能力の開発を加速することである」

陳氏は、中共が今回の展開に強く反発し、日中間の緊張がさらに高まる可能性があると見ている。