英海軍の無人艇 中国のIPと通信 カメラに中国製部品

2026/08/11
更新: 2026/08/11

英海軍が使用する無人水上艇に搭載されたカメラが、中国国内のIPアドレスと通信していたことが分かった。カメラには中国製部品が使われていた。英紙「デイリー・テレグラフ」が8月9日に報じた。

英国防省は問題のカメラをネットワークから遮断し、詳しい調査を実施した。現時点で、機密データの流出や軍事システムへの侵入を示す証拠は確認されていない。

カメラから中国のIPアドレスへ「ハートビート通信」

報道によると、英海軍は今年3月から、クラーケン・テクノロジー・グループが提供するK3 Scout無人水上艇(USV)を使用している。主に英海兵隊の沿岸部隊と第47コマンド部隊が運用している。

詳しく調べたところ、カメラは中国国内のIPアドレスに、いわゆる「ハートビート通信」を送信していた。「ハートビート通信」とは、機器がオンラインで正常に稼働しているかを確認するための基本的な通信を指す。

クラーケン・テクノロジー・グループは、英海軍と共同で全面的な調査を終えたと説明した。

同社によると、米国防権限法(NDAA)の要件を満たす一部の外部メーカー製カメラには、イギリス国外で製造された少量の部品が含まれていた。ただ、機密情報が認められていない経路を通じて外部に流出した事実は確認されず、潜在的なセキュリティー上の脆弱性についてもすでに修正したとしている。

中国製部品に懸念 軍装備の供給網に波紋

報道は関係者の話として、K3 Scoutは英軍が将来、ペルシャ湾に配備し、ホルムズ海峡の航行の自由を確保する計画で重要な装備の一つだったと伝えた。一部の準備には、すでに同型艇を使用していたという。

報道によると、問題となった無人艇が、英特殊舟艇部隊(SBS)の本部や、機密性の高い軍事会議の開催場所の近くまで接近したことがある。

このため、関連機器が軍関係者や軍事施設にとって安全保障上のリスクになり得るとの懸念も出ている。ただ、英国防省は、現時点で機密情報が流出したことを示す証拠はないと改めて強調した。

K3 Scoutは最大約600キロの荷物を搭載でき、最長30日間にわたって連続任務を遂行できる。イギリスだけでなく、米特殊作戦軍も同型艇を調達しており、NATOがバルト海で実施した試験にも参加したことがある。

英国、中国関連の技術・設備への審査強化

事件の発覚を受け、野党・保守党は政府に対し、軍事装備を直ちに全面調査し、中国製部品に関連する安全上のリスクが残っていないか確認するよう求めた。

影の内務大臣アリシア・カーンズ氏は、軍が自らの装備に使われている部品の出所を把握できなければ、その装備を完全に自国の管理下に置けているとは保証できないとの考えを示した。

今回の問題は、英海軍が進める「プロジェクト・ビーハイブ」に影響を及ぼす可能性も指摘されている。同計画は、無人戦闘プラットフォームと従来型の軍艦を連携させ、英軍の将来的な海上作戦能力を高めることを目的としている。

英政府は近年、中国関連の技術や設備に対する安全審査を強化している。

2020年には、国家安全保障上の理由から、ファーウェイの設備を5G通信網から段階的に排除することを決めた。

英軍も近年、機密性の高い施設から中国製の監視設備や一部のハードウェアの撤去を進めている。

「デイリー・テレグラフ」のこれまでの報道によると、英特殊舟艇部隊は最近、中国製EVの基地への乗り入れも禁止した。

英情報機関MI5も近年、中共による情報活動のリスクについて繰り返し警告している。

昨年10月、MI5は安全指針を発表し、イギリスの政治関係者に対し、外国の情報機関が長期にわたって関係を築いたり、ネット上で接触したりすることで機密情報を入手しようとする手口に警戒するよう呼びかけた。

さらに11月には、中共の情報員がイギリスの機密情報を扱う人物を勧誘しようとしていると警告した。LinkedInなどのプラットフォームを利用し、ヘッドハンターを装って標的となる人物に接触しているという。

王君宜
王君宜