中国の米国通信ネットワークへの深い浸透

2026/09/13
更新: 2026/09/13

友達同士なんだから、ちょっと盗み聞きしたくらい、どうってことないだろう?

もし本当にそういう話だったなら、どんなによかったことか。 

中国の米国ネットワークへの長征

実際のところ、中国は何年にもわたり、米国で最も価値のある情報を運ぶインフラの内部に自国の足場を築いてきた。

米国と中国共産党(中共)の戦略的競争に関する特別委員会の「Stranger Pings: The Threat of CCP-Controlled Infrastructure in the U.S. Communications Backbone(見知らぬピン:米国の通信網骨幹における中国共産党管理下インフラの脅威)」と題する報告書は、中国移動(China Mobile)、中国聯通(China Unicom)、中国電信(China Telecom)が米国の通信ネットワーク内に「広範かつ規制されていない足場」を維持してきたことを明確に示している。

同委員会の結論は驚くべきものである。同委員会は、中国の国有通信事業者が、米国の連邦規制当局によって中共による悪用、影響、支配を受ける脆弱性があると判断された後も、長期間にわたって米国のインターネット・エコシステムの中に組み込まれたままであったと判断している。

残念ながら、被害はこの3社の中国通信企業だけにとどまらない。

米国は何年も前に脅威を特定していた

さらに重要なのは、これは国家機密ではないということである。米国連邦政府は、この問題を何年も前から把握していた。

米国は少なくとも2012年以降、中国の通信企業を米国の重要インフラから排除しようとしてきた。

米連邦通信委員会(FCC)は、中国移動国際米国法人(China Mobile International USA)中国電信アメリカズ(China Telecom Americas)中国聯通アメリカズ(China Unicom Americas)が中共政権との関係を理由として、国家安全保障および法執行上のリスクをもたらすと判断した。

その結果、米連邦通信委員会は2019年に中国移動(国際米国法人)の米国における通信事業認可を取り消した。その後、中国電信アメリカズと中国聯通アメリカズの認可も取り消した。

しかし、企業が通信サービスを販売する権限を取り消すことと、その企業とインターネットとのあらゆる接続を断ち切ることは同じではない。

■Salt Typhoon(ソルト・タイフーン)が脅威の現実性を証明した

持続する脅威を示す最も強力な証拠が現れたのは2024年である。

「Salt Typhoon」として知られる中共と関連するサイバー諜報活動は、AT&T、Verizon、Lumen Technologiesなど、米国の主要通信企業に侵入した。攻撃者は通信ネットワークの一部や、米国の合法的な盗聴活動に関連するシステムへのアクセスを得た。

それにもかかわらず、中国の通信事業者は、依然としてネットワーク、データセンター、国際ゲートウェイ、その他のインフラとの関係を維持している。これこそが、現在、下院特別委員会が問題として取り上げている抜け穴である。

通信インフラは戦略的インフラである

米国の通信ネットワークは、単に電話やインターネット通信を通すための経路ではない。それらは政府高官レベルの通信、金融取引、企業情報、軍事関連データ、そして膨大な量の個人情報を運んでいる。こうしたネットワークへのアクセスは、中共に米国政府の計画や業務プロセスを戦略的に把握する機会を与える。

中共は米国のネットワークを通じて重要情報にアクセスできるだけでなく、中国のネットワークインフラへの米国の技術的依存も生み出している。

2020年9月3日、ドイツ・ベルリンで開催された『IFA 2020 Special Edition』の初日、家電・電子機器見本市のTP-Linkブースで、来場者を待っている女性スタッフ(Sean Gallup/Getty Images)

これが自ら招いた戦略的・技術的な大失策でないとしたら、いったい何が大失策なのか、私には分からない。 

中共政府は企業秘密にアクセスできるだけでなく、政府が認可した監視活動を支えるために使用されるインフラを標的にすることもできる。

これは戦略的な脆弱性であり、米国と中共の戦略的競争に関する特別委員会は、中国の通信企業が中共政府に、情報を入手し、インフラに影響を及ぼし、海外で中共の戦略目標を推進する機会を与え得ると繰り返し警告してきた。

米国のより大きな問題はネットワークそのものである

これは、システム全体に及ぶ脆弱性を意味している。米国の通信インフラはインターネット・サービス・プロバイダーと深く相互接続されており、基幹通信事業者に依存している。そして、これらの通信事業者は、ルーター、データセンター、国際ゲートウェイ、クラウドインフラ、海底ケーブルに依存している。

一つの層に存在する脆弱性が別の層へのアクセスを可能にする場合があり、中共のサイバー作戦はこうしたインフラをますます標的にしている。FBIやその他の米国政府当局者は、中共政府が支援するハッカーが、通信、エネルギー、輸送、水道システムなど、米国の重要インフラを標的にしていると警告している。

ここで、中共の戦略が特に危険なものとなる。その目的は、必ずしも米国のネットワークを破壊することではない。中共政権はネットワークに密かに侵入し、その構造を把握し、将来の悪用に備えることができるのである。

中国は戦略的な影響力を持っている

いったんネットワーク内部に侵入すれば、敵対者はその構造を調査し、脆弱性を特定し、通信を監視し、必要になるまで休眠状態を維持できるアクセス・ポイントを設置する可能性がある。

米国政府当局者は、中共のサイバー攻撃者が、将来の危機が発生した際に混乱を引き起こすことを可能にする『事前配置(pre-positioning)』活動を、米国の重要インフラ内で行っていると警告している。

これは脅威の性質を変えるものである。サイバーセキュリティはもはや、単に情報の窃取を防ぐことだけではない。最も重要な時に敵対者が国を混乱させる能力を密かに構築することを防ぐことでもある。

中共政府の通信戦略は、米国のような受け入れ国でインフラを構築し、技術標準を確立し、商業的依存を生み出すことで長期的なアクセスを維持するという、より広範なパターンに合致している。その結果として生じるのが、戦略的な影響力である。

米国とその同盟国は、この危険性をますます認識するようになっている。米国は中国製通信機器を制限しており、同盟国政府もファーウェイ、ZTE、その他の中国のテクノロジー企業に対して同様の措置を講じている。

しかし、機器を撤去することは問題の一部にすぎない。米国は、誰がネットワークを管理しているのか、誰がネットワークにアクセスできるのか、そしてどこに隠れた依存関係が残っているのかについても把握しなければならない。

結論

『Stranger Pings(見知らぬピン)』報告書は、中共の米国における通信分野での存在が、単なる商業上の問題ではなく、国家安全保障上の問題であることを明確に警告している。

米国はすでに中国の通信企業を安全保障上のリスクと認定し、それらに対して措置を講じている。しかし、下院特別委員会によれば、それらの企業とインフラとの接続は依然として残っている。

Salt Typhoonは、こうした脆弱性が悪用された場合に何をもたらし得るのかを実証した。中共は、米国の通信システム全体を支配しなくても、それを脅威にさらすことができる。必要なのは、その中の戦略的に重要な部分にアクセスすることだけだ。 

次の大国間紛争は、ミサイルによって始まるのではなく、戦略的に重要な米国の防衛ネットワークが突然機能停止することから始まる可能性がある。だからこそ、米国の通信インフラは、それが現在すでになっているもの、すなわち重要な国家安全保障インフラであり、共産主義中国との戦略的競争における戦場として扱われるべきなのである。

 

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
『中国危機』(Wiley、2013年)の著者であり、自身のブログTheBananaRepublican.comを運営している。南カリフォルニアを拠点としている。