米国とEUを含むG20の多くの国・地域が共同声明に署名し、EVや半導体など特定分野の過剰生産能力に共同で対処する方針を示した。
専門家は、貿易不均衡が深まるなか、米欧が多国間の連携を強め、中国への圧力を高めようとしているとみている。
米通商代表部は10月7日、米国と他の14の国・地域が、EV、バッテリー、半導体、太陽光パネルなどの分野で構造的な過剰生産能力に対処するため、「実効的な措置」を講じることで合意したと発表した。
署名したのは、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、EU、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、メキシコ、ポーランド、トルコ、英国、米国。
一方、中国、ブラジル、インドネシア、ロシア、サウジアラビア、南アフリカは署名しなかった。
声明は中国を名指ししていないものの、市場をゆがめ、過剰生産能力を招く「非市場的な政策や慣行」をやめるよう各国に求めた。
米通商代表部によると、経済協力開発機構(OECD)貿易委員会の会合に合わせ、この取り組みを支持する各国・地域の当局者を集め、対応に向けた協議を始めた。
ここ1か月、G20では世界的な経済不均衡や非市場的政策、過剰生産能力について相次いで協議してきたが、共同対応をめぐって各国の意見は分かれている。
9月のG20財務相会合では、中国が出席メンバーの中で唯一、議長声明に同意せず、世界的な不均衡や非市場的政策に関する文言を盛り込むことにも反対した。
その1週間前には、G20貿易相が米ウィスコンシン州ミルウォーキーに集まり、2日間にわたって協議したものの、工業分野の過剰生産能力への対応では合意に至らなかった。
会合後、中国共産党商務省は、多くの参加国・地域が過剰生産能力をめぐって異なる見解を示したと説明した。一方、米通商代表部は、協力の進め方に反対したのは「少数」の閣僚だけだったとしている。
こうしたなか、米国やEUなどは7日、共同声明を発表し、過剰生産能力への共同対応を打ち出した。
専門家「米欧が多国間で連携」 過剰生産能力めぐり中国に圧力
香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、復旦大学米国研究センター副主任の趙明昊氏は、今回の共同声明について、過剰生産能力をめぐって中共に圧力をかけるため、米欧が多国間で連携する動きだとの見方を示した。
趙氏は、こうした政策はバイデン政権時代から進められており、第2次トランプ政権がさらに強化していると分析した。
「米欧関係は大きな課題に直面し、政策面で一致できる分野も限られている。しかし過剰生産能力の問題は、対中圧力という点で両者の立場が一致する数少ない分野の一つだ」
南京大学国際関係学院院長の朱鋒氏も、フランスとドイツの首脳が最近、市場のゆがみに対処するため中国により強い措置を取るよう共同で求めたことを挙げ、EUが今回、具体的な対中措置に踏み切る可能性があるとの見方を示した。
中共政府はこれまで、中国に過剰生産能力があるとの指摘を否定している。フランスとドイツの首脳による共同の呼びかけにも反発しており、中共中央テレビは7日、EUが対策を実施すれば、中共側は断固として対抗するとの姿勢を示した。
8日からは、EUのマロシュ・シェフチョビッチ通商・経済安全保障担当欧州委員が北京を訪れ、王文濤商務相と2日間にわたり、主要な通商問題について協議する。
EU側は今回の会談を「最後の協議の機会」と位置づけている。
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