ホワイトハウス公式文書が示すトランプ第2期政権の全貌 主要施策と公約実現の解析

2026/11/03
更新: 2026/11/03

米ホワイトハウスは2026年11月2日、トランプ大統領の第2期政権における政策実行状況と成果を包括的に取りまとめた公式文書『President Trump’s Second Term: Promises Made, Promises Kept, Results Delivered(トランプ大統領の第2期政権:果たされた約束、実現した成果)』を公表した。本報告書は、選挙戦で掲げられた「約束(Promises Made)」がどのように「実行(Promises Kept)」され、どのような「成果(Results Delivered)」をもたらしたかを127の具体項目にわたり論証した体系的記録だ。

国境警備、経済・税制改革、エネルギー独立、政府機構改革、外交・防衛、保健・教育、先進技術に至るまで、米国国家機構の構造的転換を目指す施策の全貌が本文書によって明らかにされている。

 

1. 国境警備と主権回復:史上最大の強制送還作戦と制度刷新

トランプ第2期政権の最優先課題として位置付けられたのが、南部国境の完全封鎖と米国主権の回復である。ホワイトハウスの公式文書によると、政権発足直後の非常事態宣言発令と軍の派遣により、不法入国者の阻止と国境管理の厳格化が断行された。

2023年1月5日、フロリダ州マラソンで、米国税関国境警備局へ向かうバスに乗り込むために並ぶキューバからの不法入国者たち(Joe Raedle/Getty Images)

不法入国者数の激減と国境インフラの拡充

政権は就任初日に南部国境における国家非常事態を宣言し、数千規模の軍人員を配置して「国家防衛地域(National Defense Areas)」を設定した。これにより不法侵入者に対して軍事施設への不法侵入罪を適用する運用を開始した。その結果、2026会計年度における南西部国境での国境警備隊による拘束件数は9万8708件と、バイデン政権下の年間180万件超から95%減少した。さらに、国境警備隊による拘留者の国内釈放(キャッチ・アンド・リリース)は17ヶ月連続でゼロを記録している。

インフラ面では、「 Working Families Tax Cuts 」法案を通じて465億ドルの資金を確保し、250マイルに及ぶ新たな国境障壁の建設を完了した。また、過渡的な申請アプリであった「CBP One」を停止し、自発的帰国(自己送還)の調整手段へと再構築した。

強制送還作戦と組織犯罪・人身売買の撲滅

全米規模で展開された強制送還作戦により、不法移民人口は少なくとも230万人削減され、300万人以上の不法移民が米国を離脱した(このうち約120万人が強制送還または追放措置による)。移民・中米難民の密輸網や組織犯罪への対処として、政権は「Tren de Aragua」や「MS-13」など10以上のラテンアメリカ系カルテルを外国テロ組織(FTO)に指定し、国外犯罪者法(Alien Enemies Act)を適用した。

1月23日、アリゾナ州ツーソン国際空港で不法移民たちが国外追放便の離陸を待っている(Dept. of Defense photo by Senior Airman Devlin Bishop)
  • レイケン・ライリー法(Laken Riley Act)の成立: 不法移民犯罪者の法的拘留と送還を義務付ける法律であり、第2期政権における最初の立法上の勝利として署名された。
  • 人身売買被害児の救出: 前政権下で所在不明となっていた32万5千人の移民児童のうち、15万7千人以上を捜索・救出した。
  • フェンタニル密輸対策: 南部国境におけるフェンタニル密輸量は56%減少した。また、不法フェンタニルおよびその前駆化学物質を「大量破壊兵器(WMD:Weapons of Mass Destruction)」に指定する大統領令が発令された。

 

2. 経済・税制・関税改革:「 Working Families Tax Cuts 」とブルーカラーの復活

経済施策の中心軸は、歴史的規模の減税措置と関税をテコにした公平な貿易体制の構築、ならびに生活費・インフレの抑制である。ホワイトハウスの文書は、これらの施策が労働者階級の所得向上と製造業投資の回帰をもたらしたと分析している。

史上最大規模の減税措置の実現

政権が成立させた「 Working Families Tax Cuts 」は、働く中間層および中小企業を対象とした超大型税制改革である。初年度の確定申告において、5300万人以上の納税者が同法に基づく減税を申請し、平均還付額は前年比11%増の3400ドル超に達した。

減税の概要と実績数値は以下の通り。

  • チップ非課税(No Tax on Tips):600万人以上が申請。平均控除額は7100ドル超。
  • 残業代非課税(No Tax on Overtime):2500万人以上が申請。平均控除額は3100ドル超。
  • 社会保障給付非課税(No Tax on Social Security):3千万人以上の高齢者が控除を適用。平均控除額は7500ドル超。
  • 国産自動車ローン利子控除:100万人以上の購入者が申請。平均控除額は1800ドル超。
  • 中小企業20%控除の恒久化:800万社の中小企業で平均4600ドルの減税を達成。

貿易協定の再交渉と戦略的関税の活用

政権は関税を交渉上の最大のテコとし、英国、EU、日本、中国、インド、韓国、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、カンボジアなど、世界GDPの半数以上をカバーする国・地域との間で相互貿易協定や新枠組みを締結した。最高裁判所が緊急関税措置に対して異議を示した際にも、通商拡大法232条や通商法301条、122条を駆使して関税障壁を維持し、国内製造業の基盤を保護した。

インフレ抑止と処方箋医薬品価格の引き下げ

物価対策においては、ガソリン価格が一時1ガロンあたり3ドル未満へと低下(2025年12月時点)したほか、処方箋医薬品の価格が過去63年間で最大の下落幅を記録した。政権は主要26の製薬企業との間で「最恵国(MFN)価格設定」に関する合意を取り付け、国民が諸外国と同等の最安値で医薬品を購入できる仕組みを構築した。また、割引医薬品を直接提供するオンラインプラットフォーム「TrumpRx.gov」を立ち上げた。

 

3. エネルギー主導権の全開と「グリーン・ニューディール」の撤廃

「Drill, baby, drill(掘って掘って掘りまくれ)」のスローガンのもと、政権はエネルギー独立と低価格エネルギーの供給を最優先課題として掲げ、エネルギー規制の徹底的撤廃を断行した。

国内エネルギー生産の過去最高更新

就任初日に「国家エネルギー緊急事態」を宣言したトランプ大統領は、連邦土地における採掘許可数を過去15年間で最高の水準へ引き上げた。アラスカ国家石油保留地(ANWR)および沿岸での石油・ガス採掘の解禁、パイプライン建設の迅速化などを通じ、2025年の全米石油・天然ガス生産量は史上最高記録を更新した。

  • アラスカ天然ガスパイプライン: 韓国および台湾との間で540億ドル規模の合意を形成し、アラスカ天然ガスパイプライン構想を推進した。
  • キーストーンXLの再始動: 2026年4月、カナダ産原油をワイオミング州へ輸送するための国境通過許可証に署名した。
  • EUへのエネルギー輸出拡大: EUとの間で7500億ドル規模のアメリカ産エネルギー購入合意を成立させた。

 

過剰な環境規制の徹底撤廃と気候協定からの脱退

環境施策においては、バイデン前政権が推進した「グリーン・ニューディール(環境政策)」を「グリーン・ニュー・スキャム(Green New Scam:環境詐欺政策)」と捉えて徹底的に批判し、税金の無駄遣いを是正する措置をとった。

トランプ氏が就任当日の関連イベントに出席した際、米国がパリ協定から離脱する手続きを開始したばかりの大統領令を手にしている様子(Jim Watson/AFP via Getty Images)
  1. パリ協定からの再脱退と国際機関からの脱退: 就任初日にパリ協定からの脱退を決定し、2026年1月には過度な気候規制やグローバリズム的方針を推進する66の国際機関からの脱退を発表した。
  2. 電気自動車(EV)義務化の撤廃: 前政権によるEV普及義務化を即座に撤回し、カリフォルニア州の独自排ガス規制およびEV義務化を無効化する国会決議に署名した。
  3. 2009年危険性認定(Endangerment Finding)の失効: 2026年2月、環境保護庁(EPA)を通じて温室効果ガスに関する危険性認定を失効させ、単一の規制撤廃措置として史上最大の1兆3千億ドル規模のコスト削減を実現した。
  4. 洋上風力発電の新規貸与凍結: 外洋大陸棚における洋上風力発電の新規リース事業を全面的に停止させた。

 

4. 行政機構の刷新と「政府効率化省(DOGE)」による脱官僚化

政権は「ワシントンの沼を干上がらせる(Drain the Swamp)」という目標を掲げ、肥大化した連邦政府機構の削減と行政の責任明確化(説明責任と規律の回復)を推し進めた。

3月9日、ホワイトハウスに到着したイーロン・マスク氏は、ホワイトハウスの南庭を歩きながら「DOGE」と書かれたシャツを披露した(Oliver Contreras/AFP via Getty Images)

DOGEの設立と129対1の規制撤廃比率

大統領令により「政府効率化省(Department of Government Efficiency: DOGE)」が創設され、連邦政府の無駄な支出の徹底的な洗い出しが行われた。DOGEの主導する効率化プロジェクトにより、推計2150億ドルの納税者資金が節約された。

また、規制改革においては「新規規制1件につき既存規制10件を撤廃する」との公約を大幅に上回る実績を挙げた。2025会計年度において、政権は646件の規制撤廃アクションを完了したのに対し、重要な新規規制の導入は僅か5件にとどまり、撤廃比率は129対1に達した。これにより年間推計2118億ドルの規制順守コストが削減された。

連邦職員の解雇規定の厳格化と在宅勤務の全廃

公務員制度改革として、政権は就任初日に大統領令(通称「スケジュールF」)を再交付・復活させた。これは、政策決定に影響を与える幹部級・政策系の連邦職員について身分保障を緩和し、政権の方針に従わない場合などに解雇しやすくする措置である。さらに、全連邦省庁に対して在宅勤務(テレワーク)の即刻全廃と週5日のフルタイム対面勤務への復帰を命じた。これらの厳格な勤務体制と公務員改革の結果、連邦公務員数は268万人にまで減少(1966年以来の最低水準)した。

DEI(多様性・公平性・包摂性)プログラムの全廃

政府機関におけるDEI推進方針および関連予算を全廃した。また、公共放送協会(CPB)への国庫補助を削減・撤廃する「2025年歳出取消法(Rescissions Act of 2025)」を成立させ、10億ドル以上の資金を回収した。CPB理事会は2026年1月に組織の解散を可決した。

ミシガン州アナーバー – 4月3日: 2025年4月3日、ミシガン州アナーバーのUMキャンパスを歩くミシガン大学の学生たち。同大学は先週、DEIに関するドナルド・トランプ大統領の大統領令を受けて、多様性・公平・包摂局、健全な公平・包摂局、DEI 2.0戦略計画を閉鎖すると発表した。 (写真提供:ビル・プリアーノ/ゲッティイメージズ)

 

5. 外交・防衛政策:「力による平和」とナショナル・ディフェンスの再構築

国際関係および安全保障においては、抑止力の再構築と過度な海外関与の見直しを両立させる「力による平和(Peace Through Strength)」原則が貫かれている。

世界8つの紛争における和平合意とNATO負担増

トランプ大統領の仲介外交により、インド・パキスタン間、イスラエル・イラン間、コンゴ民主共和国・ルワンダ間、カンボジア・タイ間、コソボ・セルビア間、エジプト・エチオピア間、アルメニア・アゼルバイジャン間、およびイスラエル・ハマス間の計8つの紛争において和平合意が成立した。ガザ地区においては「和平評議会(Board of Peace)」が設立され、拘束されていたすべての人質の帰還が実現した。

国防負担の適正化に関しては、NATO加盟国に対して2035年までに国防費をGDP比5%へ引き上げる合意を取り付けた。欧州同盟国およびカナダは、2025年単年で防衛支出を20%近く増額した。

軍事作戦とミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」

対イラン政策においては、極めて強硬な軍事・制裁措置が執行された。

・トランプ大統領は、2025年5月20日に大統領執務室で、ゴールデン・ドームミサイル防衛システムに関する発表を聞いている(Jim Watson/AFP via Getty Images)
  • Operation Midnight Hammer: イランのフォルドゥ、ナタンズ、エスファハーンにある核施設を壊滅させた。
  • Operation Epic Fury: 38日間の主要戦闘により、イランの防衛産業基盤の85%以上および150隻の軍艦(すべての潜水艦を含む)を破壊した。
  • ミサイル防衛シールド「ゴールデン・ドーム(Golden Dome)」: 全米を覆う次世代ミサイル防衛構想に対し、244億ドルの予算を確保して契約・配備計画を推進した。
  • 海軍基盤の再建と「ゴールデン・フリート」: 80年ぶりとなる新規海軍造船所の開設を命じ、トランプ級戦艦2隻の建造を含む「ゴールデン・フリート」構想に着手した。

 

6. 保健・教育・社会政策:伝統的価値観と主権の回復

保健・教育・社会分野では、過度なイデオロギーの排除と、州・家庭への権限返還が強く推進された。

MAHA(Make America Healthy Again)運動と食・薬の改革

ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官のもと、国家的な慢性疾患危機を克服するための施策が展開された。食品業界に対する石油由来の合成着色料の段階的廃止要請、超加工食品(UPF)規制の見直し、学校給食における全脂乳の復活(Whole Milk for Healthy Kids Act)などが実施された。また、世界保健機関(WHO)からの正式脱退が2026年1月22日に完了した。

MAHAの活動家であるアマンダ・ヒューズ氏は、2026年9月10日、ダラスで開催された共和党全国委員会の中間選挙大会2日目に、家族とともに演説を行った。ヒューズ氏はドナルド・トランプ大統領とロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官を支持した(Patrick T. Fallon/AFP via Getty Images)

教育省の解体と学校選択制(School Choice)の全国展開

連邦教育省の組織解体方針が提示され、ワシントンD.C.本部からの移転作業を通じて年間480万ドルの費用削減が開始された。また、「 Education Freedom Tax Credit 」を通じて、最大1700ドル(夫婦で3400ドル)の税額控除を認める全米初の「学校選択制度」が設立された。さらに、「1776委員会」を再設置し、愛国教育の推進と過激な批判的人種理論(CRT)やジェンダー・イデオロギー教育を行う学校への連邦補助金カットを実施した。

生物学的性別の定義と伝統的家庭の保護

大統領令により、米国政府の公式方針として性別は「男性と女性の2つのみ(only two genders)」であることが明記された。未成年者に対する性転換手術やホルモン治療(いわゆる「ジェンダー適正医療」)を行う医療機関への連邦支援停止が下され、スタンフォード・メディシンやクリーブランド・クリニックをはじめとする多数の病院施設が当該プログラムの停止を表明した。また、女子スポーツへのトランスジェンダー選手の参加禁止が徹底された。

 

7. 先端技術・暗号資産・歴史的透明性

未来の産業基盤を米国が主導するため、人工知能(AI)、暗号資産、宇宙開発の各分野で先導的政策が打ち出された。

スーパーインテリジェンス(AI)国家戦略と暗号資産

前政権の過度なAI規制大統領令を撤廃し、過度なイデオロギー的制約を取り除いた「アメリカAIアクションプラン」を発表した。本政策のもと、人工知能の呼称を正式に「スーパーインテリジェンス(Super Intelligence)」へと改称した。

暗号資産分野では「GENIUS Act」が成立し、ステーブルコインの法規制枠組みが整備されたほか、「戦略的ビットコイン備蓄(Strategic Bitcoin Reserve)」および「米国デジタル資産蓄積枠組み」が設置された。これにより、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行・推進は全面的に禁止された。

宇宙探査と歴史的機密文書の公開

宇宙政策では、2026年4月に「アルテミスII」ミッションが成功し、人類史上最も地球から遠く離れた有人宇宙飛行を達成した。2028年までの月面再着陸と火星有人探査に向けた準備が進められている。

2026年4月6日、アルテミスIIミッションの乗組員が月をフライバイした際に、オリオン宇宙船の窓から撮影された地球の沈み込み(提供 NASA)

政府の透明性確保の観点からは、ジョン・F・ケネディ元大統領、ロバート・F・ケネディ元上院議員、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア博士の暗殺事件に関する残留機密文書の全般公開が実施されたほか、UFO/UAP関連文書およびアメリア・イアハート(Amelia Earhart)に関する歴史的記録が公開された。

 

8. 国家構造の再構築と今後の展望

ホワイトハウスの公式文書『President Trump’s Second Term: Promises Made, Promises Kept, Results Delivered(トランプ大統領の第2期政権:果たされた約束、実現した成果)』は、トランプ第2期政権が発足以来、過去のどの現代政権よりも迅速かつ広範に公約を履行してきたことを強調している。

国境の完全管理、歴史的減税と規制撤廃による経済刺激、エネルギー主導権の回復、DOGEによる連邦行政の最適化、ならびに「力による平和」に基づく外交安全保障政策は、単なる個別政策の集合体にとどまらず、米国の主権と経済的自立を再構築するための包括的戦略である。本公式文書は、これらの施策がもたらした成果を明示するとともに、今後の米国国家経営の確固たる指針を示すものとなっている。