香港:野鳥からH5N1型ウイルス、人感染拡大を懸念=専門家

2007/06/11
更新: 2007/06/11

【大紀元日本6月11日】香港当局はこのほど、カササギから鳥インフルエンザH5N1ウイルスを検出されたことを明らかにした。専門家らは民衆に対して、鳥インフルエンザ・ウイルスの感染拡大を予防する措置を講じ、特に人と人との間の感染拡大の阻止を呼びかけた。

*香港当局:家禽、鳥類との接触を避けよう

米国VOAの報道によると、 香港漁農自然護理署は6月8日、砂浜に近い畑で採取したカササギに対して複数の測定を行い、H5N1型ウイルスに感染したことが確認された。漁農自然護理署スポークスマンは、民衆に対して、衛生管理を促し、野生鳥類および生きている家禽との接触を避けるように呼びかけ、仮に接触した場合は、直ちに手を洗い、清潔を保つよう強調した。情報筋によると、香港では2007年に入って、すでに17羽の野鳥がH5N1型ウイルスに感染したことが確認されている。

一方、香港伝染病専門医の労永楽医師は、香港における鳥インフルエンザ感染問題のカギは個人の衛生管理の問題ではなく、野生鳥類の放生活動を中止すべきであると指摘した。労医師は、中国大陸で捕獲された病原菌を持つ野生鳥類を香港に持ち込んで、香港で放生することが、ウイルスの伝播を促したと指摘した。

少し前に、中国広東省の農家で鳥インフルエンザに感染した数百羽の鴨が死亡し、19歳の軍人が鳥インフルエンザに感染して死亡した。世界保健機関(WHO)によると、中国ではこれまでにすでに25人が鳥インフルエンザに感染し、その内の16人が死亡したという。

*ウイルスの経路・変異をより密接に観察すべき

国立台湾大学医学院伝染科の張上淳・主任は、鳥インフルエンザは特に東南アジア国家において、相次いで感染が発生しており、制御しにくいものではあるが、幸いにこれまでに人が感染しても拡大せずに、比較的コントロールされているとの見解を示した。

張主任は、鳥インフルエンザ・ウイルスの感染経路は、密接に追跡する必要があると強調し、ウイルスの変異によって、人と人との間の感染発生をもたらすかについて、継続的観察が肝心であるとの意見を示した。

一方、オランダのウイルス学専門家アルバート・オスターホス氏(Albert Osterhaus)は、一部の国は検疫などの予防措置を取っているが、香港の最新症例からみれば、野生鳥類には鳥インフルエンザ・ウイルスが依然と存在していることから、特に警戒が必要であると強調した。

オスターホス氏は、鳥インフルエンザ・ウイルスは、これまでにない形で伝播しており、アジア、中東およびアフリカを含み、世界中の多くの場所で鳥インフルエンザ・ウイルスが発見されており、昨年にヨーロッパにおいても発見されたと指摘した。同氏は「鳥インフルエンザ・ウイルスは家禽に感染すると、さらなる伝播の形によって、最終的に人類が感染し死亡することになるだろう。故に、野生鳥類および検疫を受けていない家禽との接触は避けるべきだ」と強調した。

2003年に鳥インフルエンザ感染が発生してから、H5N1型ウイルスは世界において188人の死亡をもたらした。しかし、専門家らは鳥インフルエンザ・ウイルスは変異し、動物または家禽間の感染から、動物・人間の間の感染へと発展し、やがて人から人への感染に拡大することを懸念している。オスターホス氏は、今のところ、人から人への感染症例はないが、一旦、ウイルスが変異し、感染拡大が始まると、人類にもたらす被害は甚大であることから、厳しい検疫および予防措置を取ることが最重要であると強調した。