香港当局の法輪功大量強制送還、曾慶紅・副主席の政治謀略か

2007/07/04
更新: 2007/07/04

【大紀元日本7月4日】6月24日から7月1日、香港当局が台湾や豪州、フィリピン、マカオなど各地の法輪功学習者約千人の国を拒否し、強制送還した。現時点までに、約800人の台湾人法輪功学習者が含まれていることが確認できた。情報によると、法輪功学習者の入国を禁止するブラックリストの存在が浮上しており、その提供者は中国公安当局である疑いが濃厚であるという。背景には、中国共産党上層部の権力闘争があると専門家は分析する。香港法輪功学習者らが6月28日、法輪功迫害の首謀者として前国家主席・江沢民ら3人を民事提訴し、香港高等裁判所が訴状を受理したことから、「今回の集団暴力強制送還事件を操っているのは、香港の政治実務を主管する中国当局の曾慶紅・副主席であり、法輪功迫害の首謀者は胡錦濤・主席であると印象付けるための一石二鳥的な政治的策略」とし、法輪功への集団迫害は権力闘争の駒に使われていると見ている。

台湾法輪大法学会の統計によると、7月1日までに、台湾人学習者約527人が強制送還され、入国ビザ申請が却下されたのは271人、飛行機の搭乗を拒否されたのは20数人。香港を訪れようとする法輪功学習者は、国内の集団迫害を命じた江沢民・元主席などへの起訴を支援するとともに、現地の法輪功学習者が主催する合法的な抗議活動と人権団体が召集する「7・1デモ」に参加するのが目的。

また、香港税関は中国当局が提供した法輪功学習者の「ブラックリスト」を元に、強制送還を実行しているため、法輪功学習者でない人も、同姓同名の理由で送還されたという。被害者がメディアに陳情したことで判明した。

調べによると、多くの学習者は飛行機から降りる直後、入国審査カウンターに向かう途中で、あらかじめ用意された収容室に直接に強制連行され、機関銃を装備した警官らに監視されていた。外部への通信を防ぐために携帯電話なども押収されたという。被害者からは、「香港警察が用いる手段は極めて暴力的で、マフィアのようだ」との声が上がった。

7月1日夜9時、拘束されていた台湾人法輪功学習者を監視する警官ら(大紀元)

また、6月28日夜、港龍航空便で到着した50人の法輪功学習者の入国ビザが税関に強制押収された。6月25日と27日、二回にわたり強制送還された台湾の朱婉_qi_・人権弁護士はその問題について、「ビザが押収されるのは、麻薬密輸者など社会に不利益をもたらす人ような犯罪者の場合だけだ。香港当局のこの措置は、完全に国際社会の常識と対立する」と非難した。

強制送還の現場を取材しようとするメディアは厳しく制限され、「希望の声」(Sound Of Hope)ラジオと新唐人テレビの記者計3人の取材用機材が強制押収された。うち、「希望の声」ラジオの2人の女性記者が暴力を受けたため、軽いケガを負い、その後強制送還された。そのうちの1人、柯宜君・記者は9時間も拘束され、その間、飲み水や食事も許されず、地面に押し付けられたまま、身体検査を強いられたという。その後、拘束具で縛り付けられ、台湾に強制送還された。身体に7箇所の傷を負ったという。

強制送還される女性(大紀元)

拘束具と共に担架に縛りつけられ、強制送還される法輪功学習者(大紀元)

台湾と香港の記者協会は、香港当局が報道の自由を侵したと指摘、強く非難した。

香港当局は強制送還の理由について、依然として説明がない。法輪功側によると、某航空会社の電子メールのコピーを入手したという。メールは、香港入国管理局は法輪功学習者を歓迎しないリストに編入していると通達するものだった。6月30日、香港法輪大法佛学会スポークスマン簡鴻章氏は、入手した証拠を元に、香港高等裁判所に緊急の違憲審査を申し出て、入国管理局による強制送還の撤回を求めた。

簡鴻章氏は、「我々は2つの明確な事実を確認できている。①入国管理局は確かに法輪功学習者の「ブラックリスト」を保有している②入国拒否の原因は、法輪功学習者であるという理由だけ。これは明らかに法輪功学習者への差別(人権蹂躙)である」と述べた。

1999年7月20日、当時の主席・江沢民は一夜で法輪功への集団弾圧を発動した。内部情報筋によると、当時、この決定に反対した常務委員は複数いたという。江沢民が政権から退いた後も、曾慶紅・副主席を中心とするその側近は弾圧を堅持し続けてきた。専門家からは、「比較的穏健派である胡・温現政権と法輪功を対立させ、また、胡・温政権に弾圧の責任を転嫁するなどの目的で、香港の政治実務を主管する曾慶紅・副主席は、今回の大規模な強制送還を計画したのではないか」と分析している。また、香港の実支配者であるだけに、曾慶紅・副主席が、胡錦濤・主席の香港訪問に同行する予定だったが、直前に同行するのを取りやめたことからも内情が伺えるという。

欧州議会のスコット副議長は、「中国当局が合法的な抗議者に暴力手段を用いることに、非常に驚いた。今回の強制送還事件を通して、中国当局の「一国二制度」の承諾はいかに信用度が低いのもさらに証明された。また、中国当局による国内での宗教信仰者への騒乱、監禁、拷問などの実態も推して知ることができる」と述べた。

イギリス保守党の議員であるスコット副議長は昨年5月、北京で迫害された体験を持つ法輪功学習者数人と面談したが、その直後に、これらの法輪功学習者が再び当局に逮捕・監禁され、当時の通訳を担当した米国人青年も当局に強制連行され、国外強制退去させられた。同年8月26日、スコット副議長は香港で、法輪功迫害真相連合調査団(CIPFG)に参加すると宣言した。人権・民主への弾圧とオリンピックが同時に進行するべきではないと、北京五輪ボイコット運動も支持している。

この事件を受け、米国ワシントンやサンフランシスコ、豪州、日本、韓国などの各地で、法輪功学習者が現地の中国在外公館の前で、抗議活動を行い、迫害の首謀者である前主席・江沢民などへの提訴について香港法輪功学習者らを支援した。

(記者・呉涔渓)
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