米国製薬会社:中国人元社員を産業スパイで告訴

2007/08/02
更新: 2007/08/02

【大紀元日本8月2日】米ノースカロライナ州の製会社サーレネクス社(Serenex)は、中国人元社員が同社の機密研究の成果を窃取し、中国の医薬会社2社に提供、その駐米代表になったと告訴を起こした。新聞観察家(Newsobserver)ネットは近日に報道した。

同社は、元社員の化学研究者・黄雲生(Yunsheng Huang)は、自社の企業機密を盗み、中国の製薬会社2社に提供、国外でガン治療薬の特許を申請していると主張している。

サーレネクス社は告訴する理由について、「自社の知的財産権が侵害されているのを憂慮するほか、その他の大手製薬会社との取引が影響を受けることや、ほかの企業機密も窃取されたのではと心配している」と説明。

報道によると、同社は、2種類のガン治療薬の開発実験に取り込んでいる。先月、2600万ドルの資金を公募したと発表、2001年創立してから、公募資金の総額は8100万ドルに達した。同社の顧問弁護士サーセル氏は、「我々は有するべき権益を積極的に守ろうとしている。自分の研究成果が他人に盗まれるのを見過ごせない」と話した。

同社は、黄雲生を国際産業スパイとして告訴し、中国の製薬会社2社、北京国薬龍立科技有限公司(Beijing Gylongli Sci.& Tech. Co.)と、GYLL生物医学技術公司(Gyll Biomedtech)、中国当局の幹部・張同相(Tongxiang Zhang、音読、この2社の最高経営者)も提訴した。

訴状によると、黄雲生は米国に帰化した中国人。今は同州エイベックス(Apex)に在住、同社が彼の機密窃盗行為を発見した後、今年2月に解雇したという。

一方、被告人・黄氏の代理弁護人スミドリン氏は、「依頼人は如何なる不法行為もないと容疑を堅く否認している」と説明、黄氏の主張として、「訴訟の理由は極めて弱い、しかも、いかなる証拠がない、機密情報の漏洩は自分と無関係だが、調査には協力する」と伝え、黄氏はサーレネクス社に解雇されたではなく、労働契約により会社を退社したという。

また、スミドリン弁護士は、「私の依頼人と張同相の接触機会があまり無い。数回しか会っていない。依頼人は張に商業構想を提案したが、明らかに採用されなかった」と話した。

今年2月、サーレネクス社は、張同相らは、世界知的財産権組織にガン治療薬の特許を申請しているのを把握した。このガン治療薬に含まれている化合物は、サーレネクス社が特許を得た化合物とは同じもの。しかも、含有するその他の化合物もほぼサーレネクス社の開発成果と同じという。当時、被告人の黄氏はサーレネクス社に勤務していた。また、張同相は中国国内でも同じ特許を申請している。

サーレネクス社の訴状は、「張同相が特許を申請しているガン治療薬は、元社員・黄の汚職違法行為と密接に関連している。黄はいま、張同相の製薬会社の米国代表と経営者を務めている。張同相は黄から我が社の機密情報を入手した」と書き記している。

一方、被告人の黄氏は、母親の家庭緊急事件を処理するとの理由で、裁判所での証言訊問の延期を要求した。サーレネクス社の顧問弁護士は、黄は中国国内に逃亡したのではと憂慮している。黄の代理弁護人は、その可能性を完全否定したが、黄の行方を聞かれると、「私は最近、黄と会っていない。いまは、彼との連絡が取れない」と回答した。

会社の営利は知的財産権と密接に関連しているため、多くの企業が国際市場での熾烈な競争の中、互いに企業機密を探ろうとしている。そのため、産業スパイの問題は徐々に深刻化しているという。

(記者・曾去執)