ホンダ広東省工場ストで中国生産停止、再開めど立たず 国内世論「支持」

2010/05/29
更新: 2010/05/29

【大紀元日本5月29日】広東省佛山市にあるホンダの部品工場で、待遇に不満を持つ従業員によるストライキが起き、ホンダの完成品の組立工場4ヶ所が稼動停止した。損失額26億円に上り、再開のめどがいまだ立っておらず、影響が拡大している。一方、中国国内メディアは「死活問題に晒される人の抗争だ」といった、ストライキを支持する論調が目立っている。

変速機を生産するホンダ傘下の同工場は17日に、「日本人従業員との賃金の差は50倍にも上る」と待遇の改善を求め、ストライキを行った。会社側は後日解決策を提示すると約束したため、ストライキは1日で終了したが、会社側が後ほど提示したアップ幅と従業員が求めた賃金との差が埋まらなかったため、再びストライキに突入した。

現在、部品工場のストライキの影響で組み立て工場は稼動停止に追い込まれ、毎日2500台の生産が減少し、総額26億円の損失が見込まれており、ホンダが最近掲げた年間83万台の増産計画への影響も避けられない。

日中間従業員の給料差は50倍

従業員らはストライキで「賃金の引き上げ、賃金制度改革、管理制度改革」の三つを要求している。

ストライキの主な原因である同工場の給与体制は、中国人従業員の場合、基本給675元(日本円約9千円)に技能手当340元、及びその他の皆勤手当て、住宅手当などを合わせて、1510元(日本円約2万円)前後になっている。周辺の部品工場の平均月収2000元を下回っている。

一部の工場従業員の話によると、実際、社会保険などを引かれた後、手取りは千元未満。特に従業員の半数を占める実習生の場合、月の手取りは500元前後、家が広東省内であっても帰るお金さえないという。

佛山市は2010年5月1日から最低賃金を920元に引き上げたが、同工場はそれに応じるつもりはなく、技能手当の一部を基本給に充てるなど、従業員らの賃金は実際変化していない。しかし、最近中国の物価が高騰し、従業員らの生活がますます圧迫され、待遇問題がストライキの引き金となった。

一方、工場従業員の話によると、日本人従業員の場合、20代の若者でも基本給プラス毎日300ドルの日当で合わせて65万円をもらい、中国人従業員の約50倍。「会社に特別な貢献ができているとは思わない」など中国人従業員が不満を募らせている。また、中国人はせいぜい副課長までで、課長、部長は全部日本人であり、人事制度に対しても日ごろから不満があったという。

BBCの中国語報道によると、日本人スタッフの給与は平均5万元(日本円66万円)以上に対して、自分たちの給与は低すぎで、最低でも2000元以上に引き上げてほしいとストライキ参加の中国人従業員が工場側に求めている。

広州の労使関係に詳しい専門家は、多くの日系企業では、日本人は中国人を信用しておらず、中国人従業員は昇進しても中間管理職までで、企業に影響力を持っていないこと、日本の会社は縦割り社会で、上下関係が厳しく、そのため、日中両者が十分な意思疎通を図っていないなど企業風土にも原因があると分析した。

国内に支持の世論

中国国内ではストライキを支持する論調が目立っている。『中国経済時報』は、ストライキは「死活問題に晒される人の抗争だ」と支持する記事を掲載した。北京大学経済学院労働経済学の専門家夏業良氏は中日従業員の給与が大きく開いていることは極めて理不尽なことで、会社側は平等に対処すべきだとコメントした。

「従業員は会社に服従せざるを得ない弱い立場にあること、国民総生産(GDP)を追求するあまり、政府と組合は従業員の権益を十分守っていないことがストライキの原因だ」と『毎日経済新聞』は、上海剣橋学院自動車設計学部の裘文才教授のコメントを紹介した。

ネット掲示板では、ストライキを支持する声がほとんどで、中には「日本製品をポイコッとしよう」などの過激な発言や、「政府が労働者を見捨てているのだから、ましてや外国の企業は」という皮肉を込めたコメントも寄せられた。

(翻訳編集・高遠)
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