日印2プラス2設置 安全保障と経済の連携強化

2018/10/29
更新: 2018/10/29

10月29日、安倍首相は訪日中のインド・モディ首相との首脳会談で、自由で開かれたインド太平洋戦略の推進のため、日印外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の設置やアジア諸国におけるインフラ整備計画に合意した。また、日本の新幹線方式を採用した高速鉄道整備事業などを含む、総額3165億円の円借款供与も発表した。

安倍首相は、中国共産党政府が主導する一帯一路構想の代替案とも言われる、自由で開かれたインド太平洋戦略実現に向けて「日印の特別戦略的グローバル・パートナーシップを推進する」と強調した。モディ首相は日印2プラス2の役割について「世界に平和、安定性を強調するため」と表現した。

インド英字紙タイムズ・オブ・インディアによると、両国はバングラデシュでは道路と橋梁(きょうりょう)、スリランカは液化天然ガス(LNG)基地、ミャンマーでは日印合弁会社による住宅建設計画を共有する。ほかにも、保健・医療分野での協力、デジタル分野の起業促進について協議された。

安倍首相は28日、山梨県の山中湖近くにある別荘にモディ首相を招いた。外国首脳では初めて。モディ首相は自身のSNSで、箸を使った礼儀作法を安倍首相から教わったとコメントした。安倍首相は個人的な交流を通じて日本とインドの関係の深まりを図る。同日、両首脳は忍野村にあるファナック本社のロボット製造工場を視察した。

日本政府は2017年インド政府に1000億円の資金協力をした。この日印首脳会談と併せて、両国政府はインフラ整備を含む7000億円の融資プロジェクトに署名している。

日印首脳は2005年から首脳会談が行われ、今回で12回目。安倍首相は2017年9月にインドを訪問し、モディ首相の故郷であるグジャラート州に招かれた。

英字メディア・マネーコントロールは、今回の日印首脳会談で、両国の軍事物流システムを相互運用する協定LEMOAに関する協議が行われたと分析する。戦略的協力関係を高めるLEMOAは、日本の海上自衛隊が、アンダマン・ニコバル諸島を含む主要なインド海軍拠点に燃料とサービスを提供することを可能にする。また、インド海軍がメンテナンスのために日本の基地設備を使用することができる。

インドは、同盟国である米国やフランスとも同類の協定を結んでいる。米海軍は「自由な航行作戦」で、台湾海峡を含むアジア同盟国周辺海域での活動を活発化させている。インドと米国は9月に行われた2プラス2で、2019年に陸海空合同の大規模な軍事演習を行うと発表した。

5月に訪印したマクロン大統領はモディ首相との首脳会談で、インド洋における印仏軍事協力を強化する合意文書に調印した。マクロン大統領はインド太平洋地域で「覇権はあってはならない」と暗に中国をけん制した。

ロンドンのキングスカレッジ教授でニューデリー研究基金顧問ハーシュ・パント氏は同メディアで、中国共産党政府による海洋進出が進む中、インド太平洋地域のパワーバランスを取るために、民主主義国であり経済大国でもある日本とインドの2国が連携強化することは重要だと指摘する。

(翻訳編集・佐渡道世)