大紀元時報

アングル:北朝鮮のSLBM、本当の脅威度と実戦配備の壁

2019年10月05日 15時50分
北朝鮮は2日、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験を行ったとみられる。SLBMの開発は着手から比較的日が浅いが、核弾頭搭載に向けて急速に進んできた。今回の発射がSLBMであれば、この3年間では初めてとなる。写真はSLBMとみられるミサイル。10月2日、朝鮮中央通信が公開(2019年 提供写真)
北朝鮮は2日、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験を行ったとみられる。SLBMの開発は着手から比較的日が浅いが、核弾頭搭載に向けて急速に進んできた。今回の発射がSLBMであれば、この3年間では初めてとなる。写真はSLBMとみられるミサイル。10月2日、朝鮮中央通信が公開(2019年 提供写真)

[ソウル 2日 ロイター] - 北朝鮮は2日、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験を行ったとみられる。SLBMの開発は着手から比較的日が浅いが、核弾頭搭載に向けて急速に進んできた。今回の発射がSLBMであれば、この3年間では初めてとなる。

発射の数時間前に、北朝鮮は今週末に米国と核開発問題の協議を再開すると発表していた。

ミサイルの正確なタイプや、発射プラットフォームはなお不明だが、専門家は「既存の枠を超える」動きだったように見えると指摘した。

◎何が起きたか

2日午前7時すぎ、北朝鮮のウォンサン(元山)から北東約17キロの沖合でミサイルが発射された。ウォンサンは同国の軍事拠点の1つで、過去にもミサイルが発射されている。

日本政府は当初、2発のミサイルが発射されたと発表したが、その後1発が分離したと修正。日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したという。

韓国のチョン・ギョンドゥ国防相は、イージス艦がミサイル1発を探知し、飛距離は450キロ、最高高度は910キロで高い角度で飛距離を抑える「ロフテッド軌道」で打ち上げられたと説明した。

ミサイルを発射したのが潜水艦か、海上プラットフォームかは不明だ。

ある米政府高官は、当座の分析に基づくとミサイルは海上プラットフォームから発射され、潜水艦に搭載できる弾道ミサイルだとの見方を示した。

◎これで生じる新たな脅威とは

ミサイルが標準的な軌道で発射されていれば、飛距離は最長1900キロとなり、中距離ミサイルに分類される。韓国と日本の全土が射程内に収まる形。両国にとって近海に展開した潜水艦からのミサイルは、ミサイル防衛システムでの対応がより困難となる。

SLBMの脅威は潜水艦の航続距離次第でどんどん高まる。北朝鮮が保有する「ロメオ級」は約7000キロの航続距離を持つとみられ、片道ならハワイ近くまで到達できる。

ただロメオ級のエンジンはディーゼル式で非常に音が大きいので、探知されやすい。特に米軍は旧ソ連の潜水艦に数十年も対処してきたという経験がある。

◎北朝鮮のSLBM開発の経緯

北朝鮮がSLBMの開発に乗り出したのは2015年で、16年8月に1回目の発射を実施。2段階式固定燃料の「北極星」がロフテッド軌道で打ち出され、500キロ飛翔し、実験が成功したとみなされた。

それ以降実験の情報は聞かれず、北朝鮮は中長距離のSLBM開発を進めていた様子がうかがえる。

以前の発射実験は、ウォンサンからおよそ110キロ離れた港湾都市シンポ(新浦)で行われた。この地は北朝鮮の潜水艦部隊の大部分の根拠地となっているもようだ。

北朝鮮の潜水艦は総数こそ世界最大級だが、大半は小型か旧ソ連時代の古いタイプで、弾道ミサイル搭載能力があるのは1隻にとどまるとみられている。

同国は今年7月、金正恩朝鮮労働党委員長が大型の新造潜水艦を視察し、その実践配備が近いと表明していた。

専門家は、北朝鮮の国営メディアが公表した写真から、新造潜水艦はロメオ級を改良して外殻を拡大しただけで、より大きな新型ではないとの見解を示した。

◎第2撃能力を備えたか

SLBMは、先制核攻撃を受けた場合に報復する「第2撃能力」を確保する上で鍵になるとみなされている。

この能力を備えるには、潜水艦は核の弾道ミサイルを発射できるだけでなく、敵を攻撃できる範囲で航行し続けることが必要になる。

軍事専門家は、北朝鮮の潜水艦技術が第2撃能力を得る地点まで高まったかどうか懐疑的だ。

◎他の最近のミサイル実験

北朝鮮は、金正恩氏がトランプ米大統領と今年6月30日に板門店で会談し、核問題の協議再開を約束して以降、計9回のミサイル発射実験を行ってきた。

今回を除けば、いずれも短距離ミサイルやロケット弾で、想定している攻撃対象は韓国や在韓米軍だ。

2017年11月には大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験があり、これは標準的な軌道なら飛行距離は最長1万3000キロと、米本土に届く。

ただ専門家は、北朝鮮が大気圏再突入に耐えられ、精密に標的に到達できるような小型核弾頭を製造する技術はまだ習得していないと考えている。

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