アングル:新型ウイルス、「春になれば抑制される」は本当か

2020/03/01
更新: 2020/03/01

[ロンドン 21日 ロイター] – 公衆衛生当局者や企業、金融市場は、北半球に暖かい天気が到来することで新型コロナウイルスの感染拡大が鈍化するのかどうか、兆候を得ようと努めている。感染症拡大の季節的特徴で、分かっていることは以下の通り。

<新型ウイルスは季節性があるのか>

それこそ、一部の感染症専門家が願っていることだ。しかし、彼らはまだ、そう確信できない。科学者が必要な証拠を集められるほど、まだウイルスが出回ってから長くないからだ。

英イーストアングリア大学の感染症専門家ポール・ハンター氏は「われわれはとにかく、同様な広がり方をする他の疾病からの類推を続けていかなければならない」と語る。

科学者が知っているのは、インフルエンザのような呼吸器感染症や咳、悪寒には季節的な要因が影響し得るし、この季節要因によって発生の予見や封じ込めが容易になるということだ。さらに、特定の環境条件下でウイルス伝播が起きやすくなるということも分かっている。寒冷な気象、湿度の具合、そして冬の間の人々の過ごし方といったことがすべて、感染症の流行経路に影響する可能性がある。

<冬は呼吸器疾患の拡大を助長するのか>

英レディング大学の微生物細胞機構学の専門家サイモン・クラーク氏は「寒冷な気象が咳や風邪、インフルエンザの拡大につながると推定されるのは、冷たい空気が鼻腔や気道の炎症を引き起こし、それによってウイルスの影響を受けやすくなるからだ」と説明する。

冬季は人々が室内で一緒に固まって過ごす時間が増えがちでもある。これも感染のリスクを高める。

今回のウイルス感染症を含む多くの呼吸器疾患は、感染した人が咳やくしゃみをしたときに飛び散る飛沫を通じて広がる。専門家によると、空気が冷たくて乾燥していると、飛沫が空気中でより長く漂いやすく、より長距離を移動、より多くの人々を感染させる。

<それなら春の訪れで、新型ウイルスは制圧されるのか>

レディング大学のクラーク氏は「春に小康状態になることはあり得る」としつつ、「春が来ることで状況がさらに悪化することは考えにくいが、われわれは確かなことは分からない。まったく経験に基づく推測でしかないのだ」と話す。

イーストアングリア大学のハンター氏も同様で、「北半球で夏の数カ月にこの病気が急減することは考えられるが、それが再び増えるのかどうかは、まだ分かっていない」と指摘。「夏場におおむね姿を消していて、冬になって再流行しても驚かない」という。

Reuters
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