大紀元時報

アングル:ベトナム渡航制限で韓国企業に「ウイルスドミノ」

2020年03月11日 09時17分
3月6日、米アップルと韓国LG電子向けにスマートフォンの部品を製造する韓国のある多国籍企業に対し、新型コロナウイルスの感染拡大が波状攻撃のように襲っている。写真はベトナムのハイフォンの港で2018年9月撮影(2020年 ロイター/Kham)
3月6日、米アップルと韓国LG電子向けにスマートフォンの部品を製造する韓国のある多国籍企業に対し、新型コロナウイルスの感染拡大が波状攻撃のように襲っている。写真はベトナムのハイフォンの港で2018年9月撮影(2020年 ロイター/Kham)

[ソウル 6日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>と韓国LG電子<066570.KS>向けにスマートフォンの部品を製造する韓国のある多国籍企業に対し、新型コロナウイルスの感染拡大が波状攻撃のように襲っている。

中国で最初に感染が広がった時、この企業の中国工場は約3週間の閉鎖を迫られ、同社ベトナム工場への供給が途絶え始めた。続いて感染が韓国に及び、渡航制限が実施されると、韓国人従業員はベトナムの港湾都市・ハイフォンの工場で予定していた設備拡張の作業を阻まれた。

同社の工場は、韓国で感染が集中している大邱市から車で1時間の亀尾市にある。今や、この工場で生産に支障が生じている。中国からの資材・部品調達に問題を抱え続ける一方で、国内でも一部従業員が隔離の対象となったのだ。最終顧客のアップルなどにも問題は波及しそうだ。

「ウイルスがサプライヤー企業にドミノ現象を及ぼしている。天を仰いでため息をつくしかない」──。同社の上級幹部はロイターの取材に対し、こう述べた。

同社の苦境は、新型ウイルス危機がいかにアジアの電子機器のサプライチェーンを揺さぶっているかを物語っている。ベトナムに重点投資する韓国企業の戦略が、中国リスクの回避策として万全ではなかったことも明白になった。

LG電子とサムスン電子<005930.KS>を筆頭に、韓国企業は何年もかけてベトナムで製造基盤を築いてきた。中国で政治リスクと製造コストが高まったほか、知的財産権侵害への懸念もあるからだ。

中国は今も多くの部品や資材で最善の供給元であり、中国の大手ハイテク企業やアップルの生産拠点でもある。それにもかかわらず、隣接しているベトナムがリスク減殺のための場所に選ばれるのは自然の成り行きだった。

韓国企業は外国企業の中で最も対ベトナム投資が盛んで、4000社以上が進出している。両国の相互依存は深まっており、サムスン電子だけでもベトナムの輸出の4分の1を占める。韓国にとってベトナムは3番目の輸出市場であると同時に、輸入先としても5番目に位置する。

両国間のビジネスを円滑にしているのが、頻繁な人の行き来だ。2018年に韓国からベトナムを訪れた人数は約350万人と、前年比44%も増えた。韓国とベトナムの航空会社が運航する両国間ルートの便数は昨年、1週間当たり538便に及んだ。

このため、ベトナムが渡航を制限し始めると事業計画が支障を来した。両国間の航空便は現在、大半が運航を停止しており、8日からはベトナムに入国する韓国人に14日間の隔離が義務付けられる。

LGのサプライヤーである別の韓国企業の最高経営責任者(CEO)は「難渋している。現地に行って仕事ができないからだ」と言う。

この企業はホンダ<7267.T>や独BMW<BMWG.DE>、韓国の現代自動車<005380.KS>が利用するカーナビシステム用の自動製造設備を造っており、やはり亀尾市に拠点を置く。ベトナムにエンジニアを派遣できないため、機器設置が遅れるとの懸念がある。

「危機が2、3カ月続けば、深刻な問題が起こる」とCEOは語った。

技術面の改善指導や品質管理に当たるエンジニアが現地にいることは、作業を進める上で決定的に重要だ。専門家は「管理職ならビデオ会議を開くことも可能だが、生産エンジニアは問題解決のために現地に行かねばならない」と言う。

<アップルも注視>

アップルは、韓国のLGディスプレーからディスプレーを、LGイノテック<011070.KS>からカメラモジュールを、サムスン電子からメモリーチップやディスプレーなどを購入している。

アップルのティム・クックCEOは前週、フォックス・ニュースのインタビューで「ここ数日で注目は中国から、韓国とイタリアに移ったと考えている。両国の動向を注視し、新たな動きがないか目を配ることは非常に重要だ」と述べた。

「わが社のサプライチェーンは、相対的には中国の方が重要だが、韓国でも重要なビジネスを行っている。韓国、イタリアにもサプライヤー企業があり、イタリアにも重要なビジネスがある。今後の展開を見守る必要がある」とクック氏は語った。

 

(Hyunjoo Jin、Heekyong Yang記者)

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