[アンカラ 10日 ロイター] – トルコのエルドアン大統領は、同国がロシアから購入したミサイル防衛システム「S400」を運用しないと約束すれば、米国製ミサイル防衛システム「パトリオット」を売却するとの提案を米政府から受けたと明らかにした。対立の火種となっていたS400の問題で米政府の態度が軟化したと分析した。
トルコの政府当局者2人はロイターに、同国は米側の提案を検討しているが、S400に関する方針に変更はないと語った。トルコ政府はこれまで、来月にS400の運用を開始すると表明してきた。
米国防総省は、エスパー国防長官はこの問題について立場を変えていないと説明。S400を返還しない限りトルコがパトリオットの発射台を受けとることはないとの立場だという。
トルコが昨年購入したS400について、米国は北大西洋条約機構(NATO)の集団防衛体制と整合性がとれないと反発、両国関係の緊張が高まった。
今年に入ってシリアの北部イドリブ県でアサド政権軍と、トルコが支援する反体制派との戦闘が激化。これを受け、トルコは米政府に対し、トルコとシリアの国境沿いにパトリオットを配備するよう要請したが、米側はS400とパトリオットの両方を保有するのは認めないと応じた。
エルドアン氏はブリュッセルからの帰国便の機中で記者団に、米政府にはトルコにパトリオットを配備するか、売却するよう促したと説明。「米側はS400の問題で態度を大きく軟化させ、S400を運用しないとの約束を条件として提示するに至った」と述べた。
S400を巡る対立が続く一方で、米政府は、ロシアが後ろ盾となっているシリア政権軍のイドリブ県での進軍を阻止するため、トルコを支援する意向も示してきた。
米国のジェフリー・シリア担当特別代表とサッターフィールド駐トルコ大使は訪問先のブリュッセルで開いた電話会見で、トルコに対してどのような軍事支援が可能かについてNATOと協議していると明らかにした。
ジェフリー氏は、NATO加盟国は個別に、あるいは協調してトルコに軍事支援を行うことが可能と述べたが、地上軍を派遣する可能性は否定した。
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