英失業保険申請件数、4月は85万件増 新型コロナで過去最大の増加幅

2020/05/19
更新: 2020/05/19

[ロンドン 19日 ロイター] – 英国立統計局(ONS)によると、失業保険申請件数は4月に前月比85万6500件急増し、209万7000件と1996年以来の高水準となった。増加幅は過去最大で、ロイターのエコノミスト調査の予想中央値(67万6500件)を大きく上回った。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために3月23日に導入された封鎖措置の影響が色濃く表れた。

エコノミストの予想レンジは5万6000件強━150万件と幅広かった。

一時帰休となった従業員の賃金の80%を政府が支給する給与補助制度がなければ、申請件数はもっと増加していたとみられる。

国立統計局の統計学者、Jonathan Athow氏は「制限措置導入後のほんの数週間をカバーしているにすぎないが、今回の数字は新型コロナが労働市場に大きな影響を及ぼしていることを示した」と語った。

暫定的な納税データに基づいた統計によると、4月の英就業者数は前月比1.6%減少、前年同月比では1.2%減少した。

同氏は「求人数も急減している。特にホスピタリティー業種が最も大きく落ち込んでいる」と話した。

1━3月の失業率は3.9%で、12月─2月の4.0%からわずかに低下したが、このデータは封鎖措置導入後の最初の1週間しかカバーしていない。

1━3月の就業者数は21万1000人増加。ロイター調査による予想は5万人増加だった。

英予算責任局(OBR)は4月に新型コロナの影響で4─6月の失業率が10%に上昇する可能性があるとの見通しを示している。[nL3N2C23ZF]

テリーズ・コフィー労働・年金相はBBCラジオに対し、「失業率の大幅上昇に備える必要があるだろう」と語った。

インスティテュート・オブ・ディレクターズのチーフエコノミスト、テジ・パリク氏は、政府の給与補助制度は現在、雇用の喪失をある程度抑制しているものの、8月になって企業が負担を強いられるようになれば、企業がどう反応するか、はっきり分からないと指摘。

その上で「そのころになっても、多くの企業がまだキャッシュフロー危機の最中にあるだろう。政府は、あまり痛みを与えずに補助制度を縮小していくという厄介な仕事に直面する」と述べた。

*内容を追加しました。

Reuters
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