大紀元時報

<オピニオン>全体主義へ進むアメリカ

2021年02月03日 14時50分
2020年9月18日 米最高裁判所の前で翻る米国旗 (Alex Brandon/AP Photo)
2020年9月18日 米最高裁判所の前で翻る米国旗 (Alex Brandon/AP Photo)

アメリカで全体主義国家が形成されつつある。官民を問わず影響力を持つグループが、「異なる意見は許さない」という概念を正当化し、一致団結しているからである。

様々な学者が「自由の国」のアメリカでファシズムや社会主義が台頭していると警鐘を鳴らしてきた。しかし、彼らの意見は概ね黙殺され、あるいは個別の出来事が報道されるだけで、今の状況になるとは誰も想像していなかった。

元ニューヨーク大学のリベラルアーツ教授、マイケル・レクテンワルド(Michael Rectenwald)氏は、一見無関係に見える最近の出来事が、少しずつパズルのピースを埋めるように包括的なシステムを形成していると指摘する。

ほとんどのアメリカ人は抑圧的な新政権が誕生したことに気づいていない。あるいは、油断の隙を突かれて茫然としている人もいるだろう。なぜならば、政治家、官僚、大企業、学界、シンクタンク、非営利団体、主流メディア、そして草の根運動さえもが、邪悪な目的のために連携しているという「陰謀論」は、ばかげているように見えるからだ。国の大部分が陰謀に加担していたなどと、誰が信じられるだろうか?

レクテンワルド氏は、大規模な陰謀がなくても全体主義は成立すると指摘する。アメリカの社会主義政権の根底には政治的な動機に基づく「抑圧」があるため、包括的な組織がなくても、非公式に連帯し、イデオロギーを一致させれば、全体主義は成り立つのである。新政権の権力はまだ絶対的なものではないが、建国の礎としてきた価値観や、独裁を防ぐための抑制均衡(チェック・アンド・バランス)が揺らいでいる今、その力はますます強まるだろう。

全体主義の影響はアメリカ社会全体に及んでいる。一部の市民は収入や属性、社会的地位に関係なく解雇され、銀行やソーシャルメディアなどの基本的なサービスを拒否されている。自分の意見を表明した後、「政治的な下層階級」に属しているとみなされ、事業停止に追い込まれた人もいる。政府はますます情報を検閲し、大勢の人々が「過激派」「洗脳解除(deprogramming)が必要なテロリスト」というレッテルを貼られている。

アメリカは本当に全体主義なのか?

一般的に、全体主義政権とは、独裁者が経済を独占し、メディアを検閲し、反対意見を武力で鎮圧する体制と理解されている。アメリカはそうではないし、他の独裁国家とは異なるため、全体主義と言われても信じがたいだろう。しかし、実際には、社会のあらゆる側面を支配しなくても、権力を握る事は可能である。

ナチスドイツのヒトラーは、数多くの手段を使って経済をコントロールした。産業界のリーダーたちを自発的に、または脅して党に従わせたり、企業幹部を党の忠誠者と交代させたりした。

同様に、アメリカの企業経営者たちも自発的に新政権のアジェンダを実行している。例えば、グーグルは「権威的」と判断した情報を優先的に表示している。検索結果をみれば、同社が思想的に近いメディアの記事をより「権威的」と判断しているのは明らかだ。グーグル上位の記事はアクセス数が伸びるため、より「権威的」になる。一方、反対意見を述べる記事の順位は下がり、「権威的ではない」として切り捨てられる。こうして彼らの望む情報のトレンドが形成されるのだ。

フェイスブックは一部のコンテンツに「虚偽警告」のラベルを貼り、アクセス数を減らしている。同社のコンテンツを検証するファクト・チェッカーは、フェイスブックと同じイデオロギーを持つ団体だ。

残念ながら、検閲のない自由なソーシャルメディアの設立は、アマゾンやグーグル、そしてアップルから締め出されたパーラーが示すように、非常に困難である。

レクテンワルド氏は、「トランプ支持者を悪魔に仕立て上げ、(コロナウイルスに紐づけた)健康コードを導入すれば、社会信用スコアのような警察国家を形成できるだろう」と警鐘を鳴らす。

全体主義的なイデオロギー

社会主義を形成する上で、ヒトラーは人種を第一に考えた。ユダヤ人やその他の「劣った」人種を社会から排除することで、人々は「社会化」され、変容し、完全なものになるとヒトラーは主張した。

一方、現代のアメリカ社会を支配しているのは、完全に公平な社会を目指すというイデオロギーである。「歴史的に疎外されてきた」人々の結果の差をなくすために、「白人至上主義」を排除しようという概念である。

このイデオロギーは、公然と全体主義を標榜するわけではないが、必然的に全体主義につながる可能性がある。

『シニカルな理論』の著者、ジェームズ・リンゼイ(James Lindsay)氏は、全体主義へのステップを次のように要約する。

1.    今の現実は根本的に、耐え難いほど間違っている
2.    現状を変えるために、社会全体の協力を必要とする計画がある
3.    計画に反対する人は、計画を受け入れるように教育する必要がある
4.    説得に抵抗する人には、彼らの意志に反しても再教育が必要だ
5.    頑として計画を受け入れない人は、社会から排除する

現在、上記の4番目と5番目が進行中である。

元フェイスブックのセキュリティー責任者アレックス・ステイモス(Alex Stamos)氏は、2020年大統領選の結果に挑戦するコンテンツを「暴力的な過激思想」と表現し、ISISのコンテンツと同様に禁止すべきだと話した。伝統的なメディアやソーシャルメディアが幅広い政治的見解を許容してきた結果、ワン・アメリカ・ネットワーク (OAN)やニュースマックス(Newsmax)のような「過激な」メディアが生まれたと主張する。

ステイモス氏の主張を要約すると、次の通りである。トランプ氏は不正や違法行為によって選挙が盗まれたと主張している。しかし、これは法廷で証明されていないため虚偽である。1月6日に連邦議会議事堂を襲撃した人々は、トランプ氏の主張を信じていたから、そうしたのだ。従って、選挙結果の正当性に疑問を呈する者は「過激派」であり、「潜在的なテロリスト」である。

ジョー・バイデン大統領の就任式を護衛するために召集された何万人もの州兵について、スティーブ・コーエン下院議員(民主党・テネシー州)はCNNのインタビューに答え、トランプ氏に投票した州兵は「何かをするかもしれない」ため、「疑わしい」グループに属すると話している。

また、ジェームズ・コミー前FBI長官は、共和党を「焼き払うか、変える必要がある」とコメントした。

コリー・ブッシュ下院議員(民主党・ミズーリ州)は、「白人至上主義者によるクーデター未遂事件を扇動した共和党議員を追放せよ」とツイートし、約30万人の「いいね」を集めた。彼女が糾弾しているのは、1月6日にアリゾナ州とペンシルべニア州の選挙結果に異議を唱えた議員である。

つまり、現政権下において「選挙不正があった」と主張することは、指導者の正当性を疑う行為であり、テロの扇動に等しいのである。ユーチューブ(グーグルが所有)、フェイスブック、ツイッターは、選挙不正を主張するコンテンツを禁止した。ツイッターCEOのジャック・ドーシー氏は最近流出したビデオ会議で、大統領のアカウント禁止は始まりに過ぎないと話している。

大手ハイテク企業のやり方は、「国家転覆を図った」「噂を広めた」として反体制派を取り締まる中国共産党と全く同じである。

代替案はあるのか

世界を根本的に再編成しようとすれば、全体主義は避けられない。我々がこれを拒絶するには、どうしたらいいのだろうか。この問いは、それ自体が答えである。全体主義が存続するには、そのイデオロギーへの忠誠が必要である。しかし、そのような忠誠がなければ全体主義は存続できない。

アメリカの建国の礎は個人の権利である。この権利は神から与えられたものであり、誰も奪うことはできない。人間の道徳は神に由来するという伝統的な信念がある限り、人々の権利を奪おうとする、いかなる試みにも対抗できるだろう。

レクテンワルド氏は次のように述べている。「神の実存を信じない人は、神の理想を仮定して物事を見るといいだろう。(個人の)権利を保障するには、自分たちの先入観や偏見を超えた裁定者を設定しなければならない...そうでなければ、権力と強制力を持つ人々が、むやみに個人の権利を排除し、それを正当化することのできる、無限に変化する状況に陥ってしまうからだ」


(エポック・タイムズPetr Svab/翻訳編集・郭丹丹)
 

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