中国全人代で「十四五規画」を採択、新たな海外人材誘致政策に言及

2021/03/12
更新: 2021/03/12

中国の第13期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第4回会議は11日、2021~25年までの国政運営基本計画、第14次5カ年規画と2035年までの長期目標綱要案などを採択して閉幕した。第14次5カ年規画は、科学技術イノベーションを今後の発展戦略目標に位置付けた。同規画はこれまでの「千人計画」とは別に、新たな海外ハイレベル人材招致政策を示した。

第14次5カ年規画は、科学技術イノベーションが中国の現代化発展における核心的な位置づけを堅持すると強調し、人工知能(AI)、量子計算、生命科学、宇宙航空などハイテク技術分野の発展を推し進め、「科学技術の強国」の実現を目指すとした。米中ハイテク戦争を強く意識する内容となっている。

このため、中国は今後5年間「より開放的な人材政策を実施する。国内外の優秀な人材を集め、科学技術イノベーションを向上していく」という。

同規画は、「外国籍のハイレベル人材と専門人材が、中国での勤務、研究、交流のための滞在・居留政策、または永久居留政策を完全化し、技術移民制度を整える」と示し、外国籍人材の賃金・福利厚生、子どもの教育、社会保障、納税優遇措置などの制度の健全化に言及した。また、外国人の中国国立技術機関での勤務を許可するという。

中国経済学者の程暁農氏は11日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、新しい海外人材誘致政策は、今の「千人計画」の拡大バージョンであるとの見方を示した。

程氏は、新政策と千人計画の本質は「人材の引き抜きを通して、外国企業の知的財産権とハイテク技術を盗むことにある」とした。しかし、新政策は千人計画と比べて「より露骨だ」と同氏は批判した。

「以前は、(外国人研究者らによる)産業スパイ行為を通して、技術を盗み出した。米政府が警戒を強めている今、中国当局はこの新政策で、人も技術も一緒に手に入れようとしている」

同氏は、軍事力拡大を目指す中国当局は依然として欧米各国の宇宙航空やAI技術などに目を付けているとした。

中国当局は2008年、海外ハイレベル人材招致計画「千人計画」を実施し始めた。ここ数年、米連邦捜査局(FBI)と司法省はスパイ容疑で、この千人計画に参加した米国の研究者や学者を相次いで摘発し、起訴した。「千人計画」は「入獄リスト」と揶揄された。

中国の千人計画青年プロジェクト審査小組は2018年9月、同計画に参加する外国人研究者を守るために、国内の一部の研究機関に対して、千人計画の招致状況に関して情報を公開しないよう求めた。

中国当局は「千人計画」をネット検閲ワードに認定したとみられる。国内検索エンジン大手「百度」やSNS大手「微博(ウェイボー)」などで、千人計画を入力しても、それに関連する情報は表示されない。

10日閉幕した国政助言機関、全国人民政治協商会議(政協)第13期第4回会議では、苗圩・前工業情報相の発言が注目を集めた。苗氏は、「中国が製造強国になるまで、あと30年かかる」「(製造業の)基礎能力が依然として弱く、主要なコア技術は制約されている」と述べた。

在米中国人学者の李恒青氏は、全体主義体制下の中国では、技術の自主的な開発は不可能だと指摘した。科学者や技術者らは自由に研究・開発できない。そのうえ、外国企業の技術情報を窃盗する中国当局に、知的財産権の保護も期待できない。

「中国当局にとって、外国のハイテク技術や重要部材供給への依存から脱却し、『科学技術の強国』へと変貌を遂げる近道は、外国の優秀な研究者らを引き抜くと同時に、その技術を一緒に手に入れるしかない」

(翻訳編集・張哲)

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