大紀元時報

中国海警は第二の海軍 東シナ海が「法の支配から力の支配になる恐れ」=参議院調査会

2021年4月20日 21時02分
2014年、南シナ海で中国海警局船とベトナム公船が対峙する場面(GettyImages)
2014年、南シナ海で中国海警局船とベトナム公船が対峙する場面(GettyImages)

4月14日、参議院・国際経済外交に関する調査会が開かれ、海洋法に詳しい3人の専門家が参考人として出席。そのなかの1人で神戸大学名誉教授の坂本茂樹氏は、中国海警は「第二の海軍」と述べ、中国の海洋拡張主義を放置すれば、南シナ海や東シナ海は「法の支配から力の支配になる」と懸念を示した。

坂本氏は、2016年7月に南シナ海の領海権をめぐる中国とフィリピンの仲裁裁判で、中国が判決を無視したことは、「南シナ海における中国の海洋権益の擁護という国家の重大利益の前には、国際法を無視してもいいと主張しているに等しい」と指摘。国際社会は、中国による拘束力がある判決を無視するという国際義務の違反を容認せず、南シナ海を海洋法条約が適用される平和な海にするよう努力すべきだと述べた。

2月から開かれている参議院・国際経済外交に関する調査会では、各分野の専門家が参考人として招かれ、海洋立国である日本の海洋自然、安全確保などの課題と取り組みを政府に提案している。4回目となるこの日は、海洋進出を続ける中国海警局が議題の中心となった。坂本氏のほか、明海大学外国語学部教授・公益財団法人日本国際問題研究所主任研究員の小谷哲男氏および元海上保安庁警備救難監の向田昌幸氏が出席した。

海保巡視船に対する中国海警の武器使用 排除されない

今年2月1日に施行された海警法について、坂本氏は、他の中国の海洋関連法と同じく国連海洋法に合わない条文があると指摘した。さらに、中国全国人民代表大会(全人代)は海警法の目的を「習近平強軍思想を貫徹し、新時代の国防法と軍隊建設」に関わると説明していることを紹介し、海警は「第二の海軍」であることが明らかだと述べた。

また、中国海警法はEEZの上空も「管轄」としているが、国際法ではEEZの上空は空域であり航行の自由がある。もし、この空域で中国が国内法を執行すれば国際法違反になると述べた。さらに、外国公船への武器を使った対処について「本来、武器使用は例外的措置であるはずだが、原則化した」と問題視。海警法は、中国の「管轄水域」を曖昧にしていることから、都合次第の恣意的な運用が行われる可能性があると懸念を示した。

坂本氏は、海警法は、もし尖閣諸島で漁業を行う日本漁船を追尾する中国海警船に対して、海上保安庁巡視船がこれを停止させようとした場合、中国は「法執行の妨害」として巡視船に向けて武器を使用する可能性が排除されない、と解釈できる条文だと述べた。

加えて、海警が防衛任務を担うことも明記されていることから、「法執行の武器使用」か「軍事活動の武力行使」かもあいまいになっているとの問題を指摘。世界でも強力な軍事力を備える中国が、国際法に合わない海洋活動を続ければ、「南シナ海や東シナ海は法の支配から力の支配になる」と懸念を示した。

アグレッシブな中国海警 日本はどう対応すべきか

日本が取るべき対応として、坂本氏は、米国に日米安全保障条約第5条に尖閣諸島が含まれることを改めて確認すること、また、日米豪印のインド太平洋の4カ国戦略枠組み「クアッド」に英仏独や欧州諸国、カナダなどにさらなる関与を求めることなどを挙げた。

中国は、あからさまに日本の施政下にある尖閣諸島を力でもって現状変更しようとしていることから、自衛隊と海上保安庁は連携して対応能力を強化する必要があると述べた。選択肢として、海上保安庁を準軍事組織として権限と装備を拡充すること、自衛隊に巡視任務、法執行任務である海上警備行動を加えて防衛出動の手続きを迅速化すること、現行法の下で双方の共同訓練を重ねることなどが考えうるとした。

同時に、平時でも有事でもないグレーゾーン事態のなかで、中国は、日本が最初に「武力行使」したと主張できる環境を作り出したいと考えていると想定し、自衛隊の海上警備行動は法執行活動であることなどを含め、政府は、国際的な周知や、説明責任の対処を策定することが重要だと述べた。

(蘇文悦、佐渡道世)

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