「今国会中に非難決議の成立を」民族団体らが国会前で集会

2021/05/19
更新: 2021/05/19

中国共産党による人権弾圧を非難する国会決議の成立を求める抗議集会が19日、国会議事堂前で行われた。チベットウイグル南モンゴル香港、そしてミャンマーの人々など約300人(主催者発表)が参加した。

主催団体によると、3月から与野党に渡って議論されてきた国会決議は、今国会会期中の成立を目指していたが、終盤の今もなお成立の見通しが立っていない。「先進7か国(G7)のなかで、中国への制裁を実行していないのは我が国だけ。せめて立法府から自由・人権・民主主義を重んじる国としての声をあげるべきではないか」と、日本拠点の主催団体は主張している。

日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長は集会のなかで、「あと一歩のところまで来た。このままではいけない、という意見が多数派となっている。全会一致で可決してほしい」「(非難決議は)世界における日本のイメージにもかかわってくる」と述べた。

国会前で訴えるレテプ・アフメット副会長(王文亮/大紀元)

チベット人代表のテンジン・クンガさんは「中国共産党はチベット人の言語と信仰を奪った。そして数多くのチベット人を殺害した」と訴えた。そして「今行動を起こさなければ、日本も悲惨な目に遭うかもしれない」と危機感をあらわにした。

関係者の話では、国会決議は当初、日米首脳会談が行われる4月の菅首相訪米前に成立することを目安にしていた。しかし、決議には全政党による全会一致が慣例となっており、決議案の合意には至っていない。主催団体によれば、現在の批判決議の文案には「チベット、ウイグル、南モンゴル、香港、ミャンマー等の人権問題」と列記されている。

通常国会会期末は6月16日で、残り一カ月を切った。関係者には焦りが見えるものの、国際的な人権弾圧に向き合う議員たちの動きは活発化している。4月21日には南モンゴル議連が成立し、高市早苗元総務相や山田宏議員など、多数の国会議員が出席した。

アジア自由民主連帯協議会の古川フミエイツ広報部長は大紀元の取材に対し、「関連する各議員連盟とJPAC(対中政策に関する国会議員連盟)が、積極的に(決議の成立を)推進している。今が勝負時だ」と述べた。そして「世論が最後の一押しとなる」と強調した。

10月には衆議院選も予定されているため、古川氏は「今国会の会期中に決議案を成立させなければ目処が立たなくなる」と語った。さらに、先進7カ国首脳会議(G7サミット)が6月11日から13日まで開かれ、菅首相が開催国の英国を訪問する。このため、国会のスケジュールにほとんど余裕はないとみられる。

決議に消極的な姿勢を見せる公明党だが、党の支持層の多くは非難決議に同調しているとの情報もある。

自由インド太平洋連盟の石井英俊副会長は「公明党も真剣に検討されていると思う。今日の私たちの訴えを聞いて、一緒になって声を挙げてほしい」と述べた。

香港人のウイリアム・リー氏は取材に対し、「多くの政党から、国会決議に賛同していただいていると聞いている」と述べた。

また、南モンゴルクリルタイのオルホノド・ダイチン幹事長は取材に対し、「決議は最初の一歩だ。残された時間で、なんとかこの一歩を踏み出してほしい」と述べた。

(王文亮)

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