大紀元時報

米SEC、中国企業のIPO手続き停止 米中金融デカップリングに拍車

2021年8月4日 20時08分
2020年3月18日米ニューヨーク証券取引所(AFP/Getty Images)
2020年3月18日米ニューヨーク証券取引所(AFP/Getty Images)

米証券取引委員会(SEC)は7月30日、中国当局による民間企業への規制強化のリスクを投資家に開示する新たなガイダンスが作成されるまで、中国企業の米市場での新規株式公開(IPO)や有価証券の売却に関する登録手続きを停止すると発表した。専門家は、SECの方針で、米中間の「金融デカップリング(切り離し)」に拍車がかかったと指摘した。

背景には、7月初め、中国当局が米市場に上場した配車アプリ、滴滴出行に対して取り締まりを強化し始めたことがある。滴滴出行は6月30日に米市場でIPOを果たしたばかりだ。中国当局は、米国にデータが流出する恐れがあるとして、ネットワークの安全性を審査するという理由で、「滴滴出行の関連アプリをアプリストアから削除すると発表した。これを受けて、米市場では中国株の売り注文が集中した。

また、中国の若い女性に人気のあるSNS「小紅書(RED)」や、音声プラットフォームアプリ「喜馬拉雅(Himalaya)」などは次々と米市場への上場計画を延期したと報じられた。

時事評論家の江峰(こう ほう)氏は7月30日、YouTubeの自身の時事番組で、SECの新指針によって中国企業は今後ウォール街で資金調達ができなくなったとの見解を示した。同氏は、金融分野における米中間のデカップリングは加速化しているとした。

中国企業が米政府に事実を記述した財務書類を提出するのを拒否しているため、米投資家にリスクをもたらした。こうした米中間のデカップリングは中国当局によって加速された。また、中国国内においては、当局は引き続き民間企業を抑圧していくだろう」

中国当局は昨年上半期以降、独占禁止法違反の疑いがあるとして、IT大手のアリババ集団やテンセントなどに罰金を科し、アリババ集団系列の金融企業アント・グループの香港と上海両市場での上場計画を停止した。

こうした民営企業に対する中国当局の厳しい取り締まりを懸念して、米投資家は中国株の売却を進めている。7月29日まで、米国に上場している中国株98銘柄で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン・チャイナ・インデックス(NASDAQ Golden Dragon China Index、HXC)は過去1週間、約20%急落した。また、中国当局が26日、営利目的の学習塾設立を禁止すると発表したことを受けて、教育関連中国株の下落幅は60~78%となった。

江氏は、中国当局が香港などの資本市場を「躊躇せずに鉄拳で叩き潰す」理由は2つあるとした。1つは中国共産党内において、習近平派閥、江沢民派閥、太子党派閥などの間の権力闘争に関わる。もう1つは「中国共産党政権は計画経済体制、すなわち公有制体制に戻ろうとする意図がある」という。

同氏は、中国当局は新たな社会不安を引き起こさないために、直ちに民間企業を国有化しないだろうと推測した。「しかし、ハイテク企業などはみな、最終的に国家体制の下で運営される」

台湾淡江大学 外交・国際関係学部の鄭欽模・学部長は、米政府や国民は、中国当局による企業への干渉を強く懸念していると大紀元に語った。

「SECが中国企業IPO手続きを停止したことは、今まで中国寄りだったウォール街が、金融秩序を破壊した中国企業に向けられた批判を無視することができなくなったことを意味する。ウォール街の中国企業への支援がなければ、米中間の金融デカップリングはさらに進むに違いない」

鄭氏は、中国が公有制体制に戻るのは今後の流れで、当局は「内循環(国内大循環)」に切り替え、より自立した国内経済を成長の原動力とする狙いがある、との見解を示した。

(翻訳編集・張哲)

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