香港大規模デモの民主派団体が解散 人権団体懸念

2021/08/18
更新: 2021/08/18

香港で民主化運動を主導してきた民主派団体「民間人権陣線(民陣)」が15日、解散を発表したことを受けて、アムネスティ・インターナショナルなどの国際的な人権団体が、自由が消え去る香港の状況に懸念を表明した。

2002年に民主派団体によって結成された民陣は、複数の大規模デモを主催してきた。2019年6月6日、100万人以上の人々が民陣のデモ行進に参加し、同市の反中国共産党・民主化運動の先陣を切った。

民陣は13日のミーティングで、全員一致で解散を決定したと発表。声明の中で、香港政府は中共ウイルス対策を口実に「民陣や他の団体のデモ申請を却下し続けてきた」とし、「香港の市民社会はかつてないほどの困難に直面しており、民陣の多くのメンバー団体も抑圧されている」と述べた。

昨年の国家安全維持法(国安法)施行により、陳皓桓氏などの民陣幹部が相次いで収監され、運営が困難になったため、「戦い続ける」という選択が難しくなったと説明。陳氏は、2019年に無許可の抗議活動に参加したことで、5月に1年6カ月の実刑を言い渡され、現在服役している。

民陣は香港市民の自由剥奪につながりかねない、香港基本法第23条に反対するデモや、2014年の「雨傘運動」、2019年の香港逃亡犯条例改正案反対デモなど、共に立ち上がり闘うことができたことに感謝の意を表した。民陣は160万香港ドル(約2,250万円)の資産は「適切な団体」に寄付するとしている。

民陣の発表を受けて、香港警察は民陣に財務などの情報を提出するよう求めていたが、応じなかったとする声明を発表した。また、香港警察は、団体が解散しても、そのメンバーはいかなる犯罪に対しても「刑事責任を負う」としている。

2019年6月16日香港逃亡犯条例改正案反対デモに参加する人たち (Carl Court/Getty Images)

懸念を表明

アムネスティ・インターナショナルとワシントンDCを拠点とする非営利団体・香港民主委員会(Hong Kong Democracy Council)は、民陣の解散発表を受けて、香港の状況に懸念を示した。

アムネスティの東アジア責任者・ジョシュア・ローゼンツワイグ氏は、声明の中で「民陣は20年間にわたり、警察の協力を得て大規模な平和的集会を組織してきたが、法律違反で告発されたことはなかった」とし、民陣の解散は「香港人の結社の自由、表現の自由、平和的な集会自由の権利」が香港当局のもとでは「当たり前」のものではなくなったと示していると非難した。

民陣の解散発表は、香港の教職員組合にあたる香港教育専業人員協会が、香港国家安全維持法のもとで「巨大な圧力を受けた」として解散を決定してから1週間も経っていない。

ローゼンツワイグ氏はこの2つの出来事は孤立したケースではないとし、香港の強権的な国安法が引き金となって、次々と市民社会団体が香港から消え去っていると指摘した。

香港民主委員会の朱牧民(Samuel Chu)氏は民陣と香港専門教師組合はともに「香港の市民社会の柱」だったと述べ、香港当局による民主派の「粛清」を非難した。また、米国と自由世界に「香港の市民社会への技術的、道徳的、財政的支援を継続する」よう強く求めた。

中国共産党は昨年夏、香港に対する支配を強める国家安全維持法を施行した。重大な犯罪には最高で終身刑が課せられる。現在、複数の香港民主活動家が収監されたり、海外逃亡を余儀なくされている。

(翻訳編集・蓮夏)

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