大紀元時報

24時間鳴り止まぬ騒音...中国買収の鉱山、セルビア住民の暮らしを破壊

2021年9月11日 23時28分
鉱山の内で作業する男性、参考写真(Photo credit should read ARMEND NIMANI/AFP via Getty Images)
鉱山の内で作業する男性、参考写真(Photo credit should read ARMEND NIMANI/AFP via Getty Images)

セルビア東部の都市ボルの郊外に位置するクリベリ村には、銅鉱石を採掘・加工する巨大な鉱山が広がる。ここでは、中国企業が株式の過半数を所有する鉱山で大規模な採掘事業が進められている。村の住民は、産業汚染により農業が破壊され、24時間止むことのない騒音とほこりに苦しめられている。

ことの発端は2018年。セルビア政府による公募で、中国最大級の金鉱山会社・紫金鉱業集団が鉱山開発の契約を決めた。政府発表によると、銅鉱山・精錬所を管理するRTBボルの株式63%を12億6000万ドルで取得した。残りの株式37%は現地政府が保有する。後に同社は、セルビア紫金波尔銅業と社名を変更した。

それ以降、採掘場は3交代制で24時間稼働し続けてきたという。近隣住民は騒音に悩まされ、降り注ぐ粉塵は農作物をだめにした。米ラジオ・フリー・ヨーロッパの取材に応じた住民は、真夜中でも騒音は鳴り響き、生活のすべてに支障をきたしていると語る。

住民のパウン・ボグダノビッチ氏は、政府と紫金鉱業に被害を訴えてきたが、毎回「何とかする」と軽くあしらわれてきた、と怒りを露わにした。また、自宅への唯一の道が紫金鉱業社により管理されていると話す。

2020年、ボル市当局は深刻な大気汚染をめぐり、紫金鉱業を告訴した。セルビア環境保護庁(SEPA)が公表したデータによると、紫金鉱業二酸化硫黄(SO2)の排出量は、連日にわたり1立方メートルあたり350マイクログラムの規制値を超え、その7倍近くに上る日もあったという。告訴内容によれば、2019年の大気汚染は住民の健康を危険にさらすレベルだった。

紫金鉱業は告訴を受け、作業を一時停止した。同社は二酸化硫黄の過剰排出の理由として、古い集塵・排ガス装置と脱硫装置の深刻な損傷であることが確認されたと発表した。

セルビアのエネルギー大臣ゾラナ・ミハイロビッチ氏は、紫金鉱業社による環境汚染を受け、1000世帯あまりの住民の立ち退きを計画していると公表した。しかし、時期は明確にされていない。

セルビア政府は7月、紫金鉱業が今後6年間で当初の計画を上回る19億ドルの投資を計画していると発表した。今後も、同社と戦略的パートナーとして関係を維持していくとの見解を示した。

住民のズラタ・ツベトコビッチ氏は、どんな補償があるのかも明確にされていないと訴えた。「先祖代々受け継いできた土地に値段をつけることはできない。二度とこの土地に戻って来られないだろう」と胸の内を明かした。

欧州議会議員は1月、欧州委員会のオリバー・バルヘリイ欧州近隣・拡大交渉担当委員に宛てた書簡の中で、セルビアにおける中国の投資事業は、「無謀なプロジェクトであり、透明性に欠けている」と指摘した。広範囲にわたる環境や周辺住民に壊滅的な影響を与えている可能性があるとし、EU機関とセルビア政府に対策を講じるよう求めた。

(山中蓮夏)

関連キーワード
^