張継延さんが開示した中国大使館の機密ノート(フランス軍事学校戦略研究所(IRSEM)報告書「中国(共産党)影響力」)

中国の人質外交 カナダでの干渉工作(下)=仏報告書

フランス国防省傘下の軍事学校戦略研究所(IRSEM)はこのほど、「中国(共産党)影響力」と題する報告書を発表した。 中にはカナダにおける中国政府の浸透と干渉工作の実態が含まれている。孟晩舟事件に起因する中国の人質外交について詳述したほか、中国在外公館による諜報活動、中国留学生連合会に対するコントロール、カナダ人に対する嫌がらせ・脅迫工作にも言及した。

法輪功に対する迫害

中国在外公館のスパイ活動は、法輪功を主な標的にしている。2人の中国外交官が法輪功を迫害した容疑でカナダで裁判にかけられ、国外追放された。

2004年、在トロント中国総領事館の潘新春(パン・ シンチュン)副総領事は、法輪功学習者を中傷した容疑で、裁判で誹謗罪が成立した。

2006年、カナダ政府は、在オタワ中国大使館の王鵬飛(ワン・ペンフェイ) 二等書記官のビザ更新申請を却下し、出国を要請した。 同書記官は「カナダ法輪功学習者の個人情報を収集し、彼らに嫌がらせを働いたため」だという。最も問題となったのは、同書記官がカナダ主要大学の20以上の中国人留学生連合会に対して、嫌がらせ行為を働くよう繰り返し指示したことだ。その手口は「大胆かつ極めて悪質だ」という。

カナダ警察は、中国領事館の職員がカルガリーのアルバータ大学で法輪功を誹謗中傷する小冊子を配布する現場を確認した。

カナダ人権連盟が2017年3月に公表した報告書は、中国共産党がカナダに滞在する中国人権活動家に働いた「一連の組織的な脅迫と嫌がらせ行為」を明らかにした。3年後の2020年3月、同連盟は「状況がさらに悪化した」と報告書を更新した。

法輪功学習者になりすまし異常行動を繰り返す

中国政府は、法輪功を弾圧する様々な戦術を練っている。法輪功学習者を装って大臣や国会議員に脅迫の電子メールを送るのはその手口の1つだ。

カナダの多くの政治家は、法輪功学習者と偽った送信者から、攻撃的なメールを受け取ったことがある。2017年12月にジュディ・スグロ議員、2019年3月にピーター・ジュリアン議員がこの類の電子メールを受信した。

カナダ法輪大法学会によると、多くの国の地方政府当局者にまでこのような電子メールが送られている。地元の法輪功学習者と名乗り送られてきた電子メールは、法輪功のイメージを失墜させることが目的だという。送信者のIPアドレスは中国からのものもある。

外国に亡命した中国共産党関係者の証言から、法輪功弾圧の実態が垣間見える。

豪州に亡命した「610オフィス」の元幹部、郝鳳軍(ホウ・フェンジュン)氏の話によると、カナダで1000人以上の中国スパイ組織が、法輪功迫害を担当している。 610オフィスは、法輪功弾圧の専門政府機関だ。

2007年、在オタワ中国大使館会計担当者の妻・張継延(チャン・ジヤン)さんはカナダ政府に難民申請を行った。張さんの証言によれば、当時の同大使館では、特設部署が法輪功を含む「脅威の可能性がある団体」の情報収集に当たっていた。大使館は「法輪功への憎悪を煽る資料」をカナダの国会議員や、政府当局者、オタワ前総督らに送付したという。

張さんは2007年、同中国大使館の機密ノートをメディアに公開した。ノートは、法輪功と関係のある新唐人テレビ(NTDTV)への放送許可の交付を阻止するため、華僑や中国人留学生に請願書や抗議状を送付するようなどの指示を記録している。

張さんはいま、カナダ政府に難民として保護されている。

中国留学生連合会などを操作

2010年、当時の胡錦濤・中国国家主席のオタワ訪問に備え、中国大使館は政府奨学金を受け取っている50人の中国人留学生を大使館に招集した。教育部の劉少華(リュウ・シャオファ) 一等書記官が歓迎式典の準備を指示する会議の録音を、大紀元時報が入手した。

劉書記官は参加者に「口外禁止」と釘を刺し、次の内容を話した。「オタワで胡錦濤国家主席を歓迎する人員を手配するため、大使館はオンタリオ州とケベック州から3000人を呼び寄せた。大使館側がすべての費用(ホテル、食事、交通、衣服代など)を全額負担し、そのほか一人あたり50カナダドル(約4500円)の日当を支給する」

劉書記官は同歓迎活動を「母なる祖国の名誉を守る戦い」と表現し、現場で「法輪功、チベット、ウイグル、そして親民主主義者ら」の抗議の声を遮るよう指示した。

中国学生学者連合会(CSSA)の正体

CSSAから圧力を受けたと証言する中国人留学生は多くいる。

オタワ大学のある学生は、同校のCSSAから電子メールを受け取った。「ほかの学生の証言と連盟の幹部の調査によると、あなたは法輪功学習者であることがわかった。気を付けなさい」と脅迫まがいの内容だった。

カルガリー大学では、CSSAメンバーの中国公安局の工作員と名乗る人物からメールを受信した。法輪功主催の校内イベントに出席しないよう求め、「さもなければ、あなたの名前と写真などは中央政府に送られる」という。

CSSAの活動内容から、中国当局の代弁者であることは明らかだ。 例えば、トロント大学のCSSAは、同市政府に対して、法輪大法デーに祝辞を贈らないよう繰り返し圧力をかけた。オタワ大学のCSSAは2005年、新唐テレビ局(NTDTV)に放送許可を交付しないよう、関係当局に陳情書を送った。陳情書は中国大使館の抗議状とほぼ同じ文言だった。

中国政府がカナダにいる反体制派を黙らせたり、カナダ人を脅迫したり、中国人留学生に圧力をかけたりしたのは、中国共産党にとって不都合な声を封じ込めることだ。

(翻訳編集・叶子)