2021年3月11日、中国・北京の人民大会堂で開催された全人代の閉会式に出席する中国の習近平総書記(中央)と委員たち イメージ写真(Kevin Frayer/Getty Images)

「政治花瓶」に挑む 中国の地方選、当局が独立系候補14人に妨害

政治花瓶(単なる飾り)」と呼ばれる中国の最高立法機関、全国人民代表大会全人代)。その地方選挙に、北京の人権派弁護士の妻ら14人がこのほど、立候補を表明した。14人は、当局による軟禁や強制的な「旅行」などの妨害を受けている。

中国各地で5年に一度の区・県レベルの人民代表大会(人大、地方議会に当たる)選挙が近づく中、2015年の「709弁護士一斉拘束事件」で逮捕された夫らの釈放を求めて活動してきた李文足さんと王峭嶺さん、元独立系候補者の野靖環さんを含む14人は15日、共同声明を発表し、出馬の意向を表明した。

「誰もが会える人民代表に」

声明には、「私たちは長い間、社会の底辺で生きてきた市民である。一般人である私たちは、政府、全人代、裁判所、検察庁などの政府部門とのコミュニケーションの難しさを痛感している。私たちはかつて、さまざまなルートで人大代表(議員に相当)を探し、陳情しようとしたが、どこにも見当たらなかった」と書かれている。

「私たちは今、地域の住民や有権者に気軽に声をかけ、国民のために行動できる人大代表になりたいという強い願望を持っている」

大陆区县人大将换届 <a class='keyword_link' href='https://www.epochtimes.jp/keyword/709/index.html' target='_blank'>709</a>案家属宣布参选
中国立法機関である人民代表大会の地方選挙に、北京の人権派弁護士の妻ら14人が立候補を表明した(Twitter写真)

2015年7月から3年以上失踪し、昨年4月に釈放された王全璋弁護士の妻・李文足さんは15日、自身のツイッターに「709事件からの6年間、息子が4回も学校から追い出されたり、3回もパスポートを拒否されたり、毎回アパートを借りるたびに引っ越しをさせられたりと、様々な苦難を経験してきた。人大代表に相談したかったが、テレビで見ることしかできず、実際に会うことはできない」と投稿した。

北京の人権活動家である野靖環さんは15日、大紀元の取材に対し、2016年に立候補した際、警察に殴られたと語った。「当局からの圧力に屈することなく、立候補し続ける」と固い決意を示した。

私服警察らの妨害

米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、選挙戦初日の21日、当局は私服の警察官や清掃員、赤い腕章をつけた居民委員会(居委会、行政の末端管理組織)などの職員を投入し、候補者の選挙活動を妨害したと同日伝えた。

野靖環候補者は21日、「ほとんどの候補者は軟禁されているか、強制的に他の都市に連れて行かれている。彼らはおそらく、11月4日または5日(投票日の前日または当日)に釈放されるだろう」と語った。

もう一人の候補者である楊凌雲さんは、21日午前7時に地元の警察署に連行された。釈放された後、自宅に軟禁されている。楊さんの家の前には、大勢の私服警察官や赤い腕章をつけた居委会の職員が集まり、警戒網を張っていた。

李文足さんと王峭嶺さん、野靖環さんの3人は、同じ日に楊さんと一緒に選挙活動を行う予定だったが、コミュニティの外で止められ、楊さんと会うことはできなかった。道路清掃員と称する7、8人の人たちは、ほうきで3人を追い払った。

王峭嶺候補が現場でRFAに語ったところによると、3人は日本メディアの取材を受けている最中に清掃員に襲われた。清掃員はほうきで埃を舞い上がらせながら、王さんらを取り囲み、ほこりまみれにしようとした。王さんが携帯電話で写真を撮ると、赤い腕章をつけた女性らは「肖像権侵害だ」と言いがかりをつけてきた。

李文足候補は「中国の選挙法では、選挙前の選挙運動は法律に完全に準拠している。まさか当局がこれほど多くの私服警官を動員し、さまざまな手段で私たちに嫌がらせや妨害をしてくるとは思ってもみなかった」と述べた。

政治花瓶

人民代表大会(人大)の地方選挙は5年ごとに開催される。区・県(町村)レベルの選挙は全レベルの中で唯一、直接選挙方式を採用している。その後、市、省、国家レベルの人大代表は、間接選挙によって順次に選出される。北京の区・県レベルの代表選の投票は11月初旬に行われる。

中国共産党は、「党がすべてを主導する」という一党支配を維持し続けている。人大代表は事実上、当局によって決められている。国民には実質的な投票権や立候補権がない。そのため、全人代は「ゴム印」や「政治花瓶」と揶揄されている。

(翻訳編集・王君宜)