台湾軍の女性兵士(Photo by SAM YEH/AFP via Getty Images)

中共による台湾侵攻シミュレーション...抑止には日本の台湾支持が特に重要=シンクタンク

台湾海峡をめぐる米中衝突のリスクが高まるなか、米シンクタンクは26日、中国共産党による台湾侵攻を想定した机上の模擬戦争(ウォーゲーム)を実施した。分析によれば、台湾の南東にある東沙諸島プラタス諸島)を中国に占拠された場合、再び島を台湾に戻すことは極めて難しいという。

東沙諸島は南シナ海の海上交通路に差し掛かる位置にあることから、中国共産党はかねて入手を試みると想定されてきた。東沙諸島台湾の施政下にあり、台湾軍兵士500人が駐留する。

模擬戦争を実施した外交安保シンクタンク・新アメリカ安全保障センター(CNAS)は結果を受けて、侵攻が起こるのを未然に防ぐことが最も重要だと結論づけている。台湾と米国は特に、中国の行動の抑止には日本の関与が不可欠だと指摘する。

日本の関与への期待は、中国が絡む他の紛争リスクを抑え込む成功例になりうるためだ。もし、「日本が台湾支持をはっきりさせないなら、中国軍撤退を呼びかける努力の効果も損なわれる」。また、台湾侵攻が実施されてしまえば「日本の領土を含むほかの紛争においても、中国による歯止めの効かない攻撃を許す前例となりかねない」と警告を発した。

侵略のシナリオ

米国、台湾、中国の専門家によるこのCNASのシミュレーションでは、2025年に中国人民解放軍の特殊部隊が「訓練」と称して突如、東沙諸島に上陸することを想定している。

中国軍は島の台湾軍駐屯地を占拠し、兵士らをつぎつぎに捕虜に取る。そして、中国の武装警察や「民間」部隊を常駐させ、実質上の軍事基地化を始める。南シナ海一帯で軍事演習を強化するとともに、台湾への経済的圧迫を強めていく。

台湾は最悪の事態である全面戦争を避けるため外交努力を続けるが、周辺国は懸念や非難の声明を出すのみで、効力は低いという。米国は台湾の米軍配置で一時的に対応するが、このほか官民一体の対策センターの設置やインド太平洋のパートナーシップ構築といった「緩慢な政策」しかとれないとCNASはみている。

最終的に、米国と台湾は中国を外交的・経済的に孤立させることに注力し、国際的な支持を得ようとする。しかし、台湾に関して「内政干渉」を主張する中国によるアジア地域の影響は強く、ゲームの主導権もまた依然として中国にあり、奪取された島の返還は極めて困難になるという。

こうした島の侵攻を未然に防ぐために、CNASは、東沙諸島を、捕食者に危険をわからせる「ドクガエル」にするよう提案している。中国にこの島を占拠すれば軍事、経済、政治の面において高コストであると認識させ、侵略を防ぐ戦略だ。

CNASは中国の侵略を未然に防止するうえで、日本の協力が不可欠だと強調した。米国の同盟国である日本が関与することで、中国による軍事行動や外交がもたらすリスクが変化する可能性があるためだ。

4月の菅義偉首相(当時)とバイデン米大統領の日米共同声明では、「台湾海峡の平和と安定」を記し、「両岸問題の平和的解決」を促すことで合意した。また、日本が関与することで、インドやオーストラリアとの4カ国戦略枠組み(クアッド)の連携も高められる。そして、ベトナムやフィリピンなど、中国による領土侵略に直面する他国との連携の機会も生まれる。

報告書によると、この模擬戦争は「将来の予測」ではないが、脆弱性を見つけ、さまざまな意思決定手段を探るのには有効だと付け加えた。