米シンクタンク研究員のハル・ブランズ氏の見方では、中国共産党は、20世紀冷戦時代のソ連の過ちを繰り返している(FREDERIC J. BROWN/AFP/Getty Images)

米専門家、中国は旧ソ連の二の舞踏む「冷戦から得た教訓を捨てた」

米シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)」の外交・防衛専門家、ハル・ブランズ氏は最新レポートで、中国政府が最近、核戦力の増強に力を入れ、欧米への敵意を剥き出しにしている現状について、中国が「米ソ冷戦から得た教訓を捨て、ソ連と同じ過ちを犯している」と指摘した。

中国はこのほど、極超音速兵器の発射実験を成功させた。米軍制服組トップのマーク・ミリー将軍はこの出来事について、旧ソ連が世界初の人工衛星スプートニクを打ち上げた時の衝撃に近いと述べ、中国の兵器発展への重大な懸念を露わにした。

同氏は、中国は「最終的には国際社会で孤立してしまうだろう」との見方を示した。

その1. アメリカの包囲網に陥ること

ブランズ氏はレポートで、中国最高指導部は40年前に鄧小平が定めた「韜光養晦(とうこうようかい)」の外交政策を転換させたと指摘した。

1990年代から、中国は米国を主要なライバルだと見定めていたが、当時の最高指導者・鄧小平は欧米との友好関係を築くことを選んだ。時間を稼ぎ、世界の貿易や先端技術の取得を通じて、世界覇権を手にするための力を蓄えるためだ。

中国が「先進国のレベル」に達すると、「中国の強さと世界での役割は全く異なるものになるだろう」と鄧小平は当時、述べた。

40年経った今、中国の政策に冷戦時代の雰囲気が色濃く残っている。最高指導部は「中国が大国に成長し、アメリカが後退した」と舞い上がっている。中国の外交官が公の場で米国とその同盟国の高官に批判を浴びせ、「戦狼外交」を繰り返すのも、冷戦時代の米ソ間の舌戦を連想させる。

中国政府の強硬的な言動は、日本、オーストラリア、インド、イギリス、そしてアジアやその他の小国の反発を招き、孤立を深めていくと同氏は分析した。

その2. アメリカとの軍拡競争

ブランズ氏は「軍拡競争は最終的にソ連を疲弊させ、経済力のあるアメリカが優位に立った」とソ連の主要な敗因を挙げた。

中国はこれまで核抑止力に頼らず、優位性のある分野に軍費を投じてきたが、今、その状況は変わりつつあるという。

同氏は、中国は新たな核ミサイル基地を次々と建設し、極超音速兵器の開発を進めているという現状から、2030年代半ばまでに核戦力で米国に追いつくことを目標にしていると推測した。

一方、中国の最高指導者は、トランプ政権時代から両国の緊張が続いていることから、米国の対中強行姿勢は当面、変化しないとみており、「米国への挑発をやめないだろう」と同氏は分析した。

「もう一つの要因は、習近平氏は、すでに強国になった自分たちはアメリカの顔色をうかがう必要がなくなったと考えている」という。

同氏は、これは中国を不利な状況に導くと予想した。

「中国は半導体などの先進的な技術を外国に大きく依存している。そのため、対ソ連のような戦略的包囲網に陥る可能性は十分にある」

中国の動きは、米国の政策を硬化させる可能性もある。極超音速飛行実験と核戦略の増強は、核兵器への依存度を下げるというジョー・バイデン大統領の公約の実現を困難にする、と同氏は述べた。

「中国政府はいずれ、米ソ冷戦の教訓を学ばなかったことを後悔するだろう」と同氏は推測した。

(翻訳編集・叶子静)