ボストン・セルティックスのエネス・カンター選手(Maddie Meyer/Getty Images)

「臓器狩り今すぐやめて」NBA選手、中共の強制臓器摘出を非難

米国プロバスケットボール協会(NBA)のボストン・セルティックスに所属するエネス・カンター選手は16日、中国共産党が「良心の囚人」を集団的に殺害して臓器を奪取しているとSNSに書き込み、人道犯罪だと非難した。

トルコのエルドアン政権の批判も隠さない同国出身のカンター選手は最近、中国共産党の非人道性を批判するコメントを積極的に続けている。共産党政権に虐げられているウイグル人やチベット人、台湾、香港、中国本土の民主派を支持するメッセージと、それぞれを題材にしたイラストが描かれたバスケットボールシューズをオンラインで提示している。

「中国政府は強制的な臓器摘出を行なっている。民族、宗教団体、チベット、ウイグル、キリスト教徒、法輪功などが狙われている」「臓器を目的とした殺人を直ちに停止して。人類に対する犯罪だ」。カンター選手は自身のツイッター、フェイスブック、インスタグラムに同メッセージを投稿した。メッセージとともに提示したシューズには、手術衣をまとった医師が血のしたたる臓器を握る姿、値札のついた肝臓、腎臓、心臓が描かれている。

国連の人権機関、中国に調査受入れを要求

中国共産党は10数年前から、司法や警察、党組織などと連携して移植ビジネスのための臓器収奪を行なっていると批判されてきた。今年6月には、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の人権報告官らは、中国では民族や信仰を理由に拘束された人々が本人許可を得ず身体検査を受け、臓器が摘出されているとの報告があると指摘。中国に対して第三者機関の調査を受け入れるよう要求した。

しかし中国側は一連の臓器収奪疑惑を否定している。国連人権報告官の指摘に対して、中国は国務院の命令や公安のガイドラインに基づき拘束者の「健康検査」を実施しているに過ぎず、収奪に関する証言は「捏造だ」と一蹴した。

SNSや映画で認知高まる「臓器狩り

米国ではスター選手らがSNSを通じて中国共産党の人権問題に警鐘を鳴らすなどしており、臓器狩りもまた「悪質な非人道的ビジネス」の代名詞となりつつある。2019年9月、ハリウッド映画「ザ・ランドロマットーパナマ文書流出」では中国政治腐敗のシーンで臓器強制摘出と売買を取り上げた。映像配信大手ネットフリックスが今年9月から放送している連続ドラマ「イカゲーム」にも同問題を題材にしたシーンが取り入れられ、英国では大衆紙がこぞって報じた。

日本ではどうか。依然として国会での発言や主流紙による報道は少ないものの、中国人道犯罪にノーを突きつける動きは徐々に高まっている。地方議会では中国臓器狩りを念頭に、臓器移植法の整備を求める意見書は今年9月までで88の県市町村議会で可決した。問題喚起のための映画上映会や、啓発ポスターコンクールも実施されている。

広島県議会議員時代から、臓器移植問題の周知に取り組んできた石橋林太郎衆議院議員は、「日本は情報に触れる機会が少ないようだ。日本でスポーツ選手が国際問題の発言をするのは稀だが、メディアが取り上げるよう影響力のある人物も人権問題を発信をするべきだ」と大紀元の取材に語った。

石橋議員はカンター選手の勇気ある言及に支持を示した。「個人的な関心を持たれて、問題意識を持ち勉強をしていると思う。素晴らしいことだ」と述べた。

中国共産党による報復

いっぽう、NBA選手など世界的な著名人が人権問題を取り上げると、中国共産党は経済的な報復を課すのが慣例になっている。2019年10月、ヒューストン・ロケッツのゼネラルマネージャー(当時)が香港民主化デモを支持するツイートをしたことで、中国国営放送・中国中央テレビとストリーミングサービスを持つWebサービス大手・騰訊(テンセント)は試合放送を一時停止した。

今回も、カンター選手が所属するセルティックスの試合放送打ち切りや映像の検閲、カンター選手に関する情報規制などを行なった。

米国務省の報道官は、カンター選手らに対する中国の姿勢を批判し、NBAと表現の自由を擁護した。「中国がNBAに対して行った措置に深い懸念を抱いている。米国は表現の自由を重視しており、その権利を行使する人を支持している」と述べた。

前出の石橋議員は、NBAなど所属組織が中国共産党政権から圧力を受けることに非難を示した。「私たちは民主主義国家に住んでいる。かりにもし日本の著名人らが(中国人権問題をめぐる)発言をして圧力を受けたとしても、言論の自由が妨げられないようにしなければならない。いかなる意見も尊重され、言論は守られるべきだ」と述べた。