2021年11月16日、ワシントンで開催された上院司法委員会で証言するアレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官 (Jim Watson/AFP via Getty Images)

不法移民ガイドラインをめぐりバイデン政権を提訴 3州の司法長官

中南米から米国に流入する不法移民が絶えない。この度、入国管理局が犯罪以外で米国内の不法移民を取り締まらないように命じたガイドラインをめぐって、3つの州の司法長官がバイデン政権を提訴した。

アリゾナ州のマーク・ブルノビッチ司法長官は、オハイオ州とモンタナ州の司法長官と共同で訴訟を起こした。司法長官らは、国土安全保障省のアレハンドロ・マヨルカス長官が9月に発表した移民取り締まりガイドラインは移民法に違反すると主張。連邦政府がこれを適用することを恒久的に差し止めるようシンシナティの連邦裁判所に訴訟した。

マヨルカス氏は移民が米国に大量に流入している問題を受け、多くの不法移民を追跡するための十分な資源が捜査官にはないとし、移民税関捜査局(ICE)の捜査官に逮捕の際には「慎重」に判断するよう求めた。ガイドラインによると、国家安全保障や公共の安全、国境警備に脅威を与える不法移民のみを取り締まりの対象とする。また、学校や病院などで当局が不法移民を逮捕・捜索することを制限する内容が盛り込まれた。

ブルノビッチ氏らは、ガイドラインは退去命令を受けた移民に90 日以内の退去を義務付ける連邦法に違反していると述べ、「議会の法的命令を軽視した図々しい行為」だと主張した。また、犯罪が急増するなか「ICEを実質的に廃止しようとする試みだ」と安全を無視する無謀な国境政策だと非難した。

訴状には、犯罪の容疑者や有罪判決を受けた者も釈放の対象となるため、病院や刑務所などがさらに圧迫状態に直面するなどの懸念事項が挙げられた。モンタナ州の法執行機関は、政府の指針が麻薬取引などに繋がると指摘し、「犯罪の増加に立ち向かうことになる」とガイドラインの差し止めを訴えた。

マヨルカス氏は16日、上院の委員会で「連邦検察官としての長年の経験により、作成したガイドラインだ」と主張。「国外退去を命じられた約120万人の不法移民や、国内に不法に滞在している人々もすべて退去させることはできない」と述べた。

米紙ワシントン・ポストによるとメキシコから国境を越えて米国で身柄を拘束された不法移民が9月末までの1年間で約170万人に上り、過去最多を更新した。米国内の不法移民の数は、1100万人から1400万人以上と推定されている。