カナダ総選挙、情報機関「外国勢力の介入があった」 中国が野党候補者狙う

2021/12/18
更新: 2021/12/18

カナダの情報機関はこのほど、今年9月に行われた総選挙に中国当局と関わりを持つ勢力が介入したと指摘した。野党保守党は、全国13の選挙区の同党候補者は外国勢力に狙われたと訴えた。

カナダメディア「グローバル・ニュース(Global News)」15日付によると、保守党は2つの情報機関、カナダ安全情報局(CSIS)とカナダ通信保安局(CSE)から、選挙中の広報車に対する潜在的な外国勢力の介入について説明を受けた。華僑が集中するグレーター・トロントとメトロ・バンクーバー地域の13の選挙区で、保守党の候補者が標的にされた。

党の関係者は「おそらく(カナダの)政党ではない複数の団体による巧みに組織化されたキャンペーンがあった」と示し、「外国政府から現金を受け取り、特定の選挙活動を行う人がいたことや、郵便投票詐欺、違法広告などの問題があった」と述べた。

今回の総選挙で、中国系住民が最も多いブリティッシュコロンビア州リッチモンドでは、保守党の中国系候補者であるアリス・ウォン氏(73)とケニー・チウ氏(56)は敗北した。両氏は前下院議員で、総選挙で再選を狙った。

選挙中、中国系住民が使うSNSアプリ、微信ウィーチャット)では、保守党が「反中の政党だ」と批判する投稿が増え、候補者への中傷も相次いだ。一部の投稿は、ケニー・チウ氏が提出した『外国影響力に関する登録(Foreign Influence Registry)」法案草案について、「中国(当局)と関わるすべての個人や団体は、中国政府の代弁者に認定されるかもしれない」と草案内容を意図的にわい曲した。

CSISは声明の中で、外国勢力によるカナダ民主主義制度への介入を巡って、様々な方法で監視し対抗する必要があると示した一方で、「介入がカナダの『自由で公正な選挙』実施能力を危うくするまでのレベルに達したと確認できなかった」とした。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、ケニー・チウ氏は、外国に設けられているソーシャルメディア上の投稿に対して、カナダの現行の法令では管理監督ができないことが問題だと示した。

「特に、外国政府の影響力を受ける『微信』だ。カナダの選挙管理当局のみならず、カナダ・ラジオテレビ通信委員会(CRTC)などの政府機関もそれに管理権を持たない。これは、カナダの(法律上の)大きな抜け穴で、一つの危機でもある」

総選挙で、トルドー首相が率いる与党自由党と野党の保守党は激戦を繰り広げたが、結果的に保守党が敗れた。

(翻訳編集・張哲)

関連特集: 国際