地域での懸念が高まる中、韓国とオーストラリアが防衛協力を深める

2021/12/22
更新: 2021/12/22

ここ数ヵ月の間に、インド太平洋で第4位と第5位の経済規模を持ち、それに相応した国防予算を備える2ヵ国が相互の防衛関係の深化に努めている。

 2021年8月から11月の間に韓国とオーストラリアは2回の閣僚級会議を開き、兵站支援協定を調印しただけでなく、オーストラリアが主催する大規模なが軍事演習に韓国が参加することや、両国の重要な防衛産業における協力体制を推進している。韓国政府とオーストラリア政府は、この動きは高まる共通の懸念に対処するための対策であると述べている。 

2021年11月2日にソウルで実施されたオーストラリア陸軍参謀長のリック・バー(Rick Burr)中将との会談の締めくくりとして、韓国の徐旭(Suh Wook)国防部長は、「両国の国防部/国防省間と軍隊間の協力体制を深めたい」と述べている。 韓国国防部のニュースリリースによると、徐国防部長は韓国防衛産業の大手ハンファ・ディフェンス(Hanwha Defense)社がオーストラリアの自走砲計画で「専属交渉先」契約を結ぶことになると述べている。

同契約の下、ハンファ・ディフェンス社はオーストラリア陸軍に52口径/155mmのK9ハンツマン(K9 Huntsman)榴弾砲30基とK10装甲弾薬運搬車15両を供給し、これらに指揮統制機能、通信機能、コンピュータ技術を組み込む予定である。

 徐国防部長はまた、2021年9月に韓豪外交・国防閣僚会議(2プラス2)の一環としてソウルで実施されたピーター・ダットン(Peter Dutton)豪国防大臣との韓豪の防衛協力に関する議題も含まれていた会議にも言及した。 

同会議では両政府が最近が締結した兵站に関する交流および合同訓練や演習時の相互兵站支援を活発化することを目指す「相互兵站支援・協力了解覚書」が発表された。 

この覚書は、2021年6月下旬から8月中旬にかけて実施された「タリスマン・セイバー21(Talisman Sabre 21)」演習に韓国が初参加したことを受けて発表された。オーストラリア国防省が発表によると、艦船約20隻と航空機60機が参加した同多国間演習の海戦訓練で韓国海軍は駆逐艦「王建(Wang Geon)」を派遣した。

オーストラリアが主導する最大の米豪合同演習であるタリスマン・セイバーは2005年から隔年で実施されている。 徐国防部長とダットン国防大臣は共同声明を通して、両国政府が相互の防衛産業基盤に関する能力を活用することで安保問題により良好に対処できるようにする合同防衛産業・物資委員会(Joint Defence Industry and Materiel Committee)の再開など、防衛産業協力体制が進展していることを確認した。 

両者はまた、防衛研究、開発、実験および評価を行う三国間枠組も発表した。米国も参加する同枠組により、他の同盟・提携諸国との関与など、防衛科学技術における協力体制が強化されることが期待されている。 

徐国防部長とダットン国防相は、今回の防衛協力強化に向けた取り組みは戦略的環境の不確実性が高まっている現状に対処するための戦略であると述べている。豪外務貿易省(DFAT)が発表によると、韓国と外交・国防閣僚会議を開催した国はオーストラリアと米国のみであり、オーストラリア政府と韓国政府はインド太平洋に対する米国の継続的な取り組みが地域の安定と繁栄にとって非常に重要であると見なしている 。 

Indo-Pacific Defence Forum