人権弁護士ら、「臓器強制摘出防止法」制定を各国に求める=国連人権理事会のサイドイベント

2022/03/25
更新: 2023/02/28

中国の良心の囚人から臓器を生きたまま摘出し、国内外の希望者らに移植するー。長年にわたり中国共産党の臓器狩り問題に取り組んできた人権弁護士らはこの問題を撲滅させるため、各国が「臓器強制摘出防止法」を制定し、この人道罪を犯した者・組織に対して重い刑罰を与えるよう提案した。

第49回国連人権理事会(UNHRC)の開催に合わせ、臓器狩りに関するサイドイベントがオンライン形式で22日から23日にかけて開かれた。出席した台湾の人権派弁護士で「強制臓器摘出の阻止と撲滅に関する世界宣言法律委員会」委員長を務める朱婉琪氏は、既存の国際機関はこの問題にほとんど取り組んでこなかったため各国が国家レベルで阻止しなければならなくなっていると、その緊急性を訴えた。

朱弁護士法案らが提案した「臓器強制摘出防止法」は、「本人同意のないまま臓器移植や臓器などの医療実験などを行うこと、金銭的な利益のために生きている人間から臓器や人体組織を取り出し、被害者に重症を負わせたり死亡させること」を「臓器狩り犯罪」と定義。これを犯した人物や組織に対して、各国が国内法で重罰を下すことを求めている。

人権団体らの報告によれば、中国共産党による強制臓器摘出の主な被害者は法輪功学習者とされる。法輪功は「真善忍」という3つの理念を指針とする精神修養法だ。1999年7月から中国共産党による大規模な迫害を受けており、今世紀最大の人権弾圧に挙げられている。

朱氏は約10年前、中国共産党による強制臓器摘出を非難するよう求める嘆願書を国連に提出したが、効果的な措置は取られていないと指摘。国連の機能が十分ではないなか、臓器狩りという残虐行為を一刻も早く止めるためには「良心を持つ一人ひとりが、あらゆる民主的・法的手段を取る」べきだと強調した。また「臓器強制摘出防止法」は「人間倫理の破壊を止めるための重要な救済策」であると述べ、世界各国による採択が不可欠だと語った。

「国連にいない台湾」から道筋

朱氏の提案に関連して、中国の隣国である台湾はすでにロードマップを提供している。2015年に台湾が臓器移植ツーリズムを明確に禁止する法律を成立させた。牽引したのは台湾の国家人権委員会委員で元立法委員(国会議員)の田秋堇氏だ。

田氏によれば現在、台湾では海外に移植を受けに行く患者に対し、国、病院、医師を登録することを義務付けている。違反した場合は、移植手術後に一生飲み続ける必要がある免疫抑制薬の国家保険を適用できなくなる。また、臓器収奪に関与した中国人医師のブラックリストを作成し、台湾への入国を禁止している。

この措置によって、中国への移植ツーリズムは大幅に減少したという。「強制臓器摘出は莫大な利益を生む。だからこそ(中国共産党が)自らそれに終止符を打つことはない」と指摘。人道に反する罪を止めるためにも「真実を追求する必要がある」と強調した。

また田氏は「国連に加盟したくてもできない」台湾からの要望として、国連人権理事会が「臓器強制摘出に関する調査団」を結成して中国本土調査を実施し、結果を公表するよう求めた。

沈黙

サイドイベントに出席した米国やスペイン、台湾からの現職議員や元議員は、この臓器摘出問題は秘密裏に行われているため、注目されていないと語った。

スティーブ・シャボット米下院議員は「この卑劣なやり方によって、中国はオンデマンドの臓器移植体制を維持することができている」「人類史上、最も野蛮な行為の一つ」と非難した。

欧州議会の人権委員会委員を務めるオランダの政治家ピーター・ファン・ダーレン氏は、4月1日に開かれる中国とEUの首脳会議で中国共産党による「違法な臓器狩り」問題を最優先議題として取り上げるべきだと力説した。

医師や弁護士医療倫理を唱える人々によるパネルディスカッションでは、「沈黙」が繰り返しテーマとして取り上げられた。

「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」代表トルステン・トレイ氏は「中国では、善良であろうと努力する生きた人間が、臓器のために殺されている。この事実を知ってもみぞおちが痛まない人は、中国の法輪功学習者が毎日直面している恐怖を理解していないことになる」と述べた。

トレイ氏は過去23年間、中国共産党がこれらの行為を密かに行ってきたため、世に真相が明らかになっていないと指摘。「今、誰もがウクライナでの悲劇を見てショックを受けている。しかし、もし中国共産党が何十万人もの人々から臓器を摘出している場面をSNSやテレビで流したらどう反応するだろうか」と付け加えた。

残忍な行為を知り「沈黙するのは中立ではない」とトレイ氏。「沈黙は、善を選択しなかったことを意味する。

 

米国をはじめ国際関係担当。
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