英国:インド太平洋の安保強化に向けて資金拠出を表明

2022/03/15
更新: 2022/03/15

英国は2022年2月、インド太平洋の安保強化に向けたオーストラリアとの協定の一環として34億円相当(3,400万米ドル)を拠出することを誓約した。両国首脳はまた、 中国北西部の新疆ウイグル自治区に対する中国の政策について「重大な懸念」を表明している。 

2月17日に電話会談を実施したボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相とスコット・モリソン(Scott Morrison)豪首相は、台湾海峡全域の平和と安定の重要性を強調し、ロシアのウクライナ侵攻を非難した。 

会談後に発表した共同声明で、両首相は「緊張緩和の必要性について合意し、ロシアがウクライナにこれ以上侵攻を続けることは大きな戦略的過ちであり、これには人道上重大な報いが伴うと強調した」と述べている。 

モリソン首相とジョンソン首相が説明したところでは、インド太平洋の安全保障協定により確約された英国の資金は、サイバー空間、国家の脅威対策、海洋安保などの分野における地域の耐性を強化するために利用される。

米国や他諸国は新疆ウイグル自治区における少数派イスラム教徒ウイグル人に対する中国の政策を大量虐殺(ジェノサイド)として非難している。これには強制労働、拘留、人権侵害が含まれるが、中国は一連の行為を否定している。 

中国は2020年には香港に抜本的な「国家安全法(香港国家安全維持法)」を施行した。これについては、1997年の香港返還時の英中共同声明に基づく「一国二制度」の下で保証された香港住民の権利と自由を剥奪するものとして強い批判の声が上がっている。 

英豪両首相はまた、「台湾海峡全域の平和と安定の重要性を強調し、台湾の有意義な国際機関への参加を支持する」と表明した。 

自治国家である民主主義の台湾を自国領土と主張する中国政府は、中国人民解放軍空軍の軍用機を派遣して頻繁に台湾の防空識別圏に侵入している。これは、同行為に不満を露わにする台湾が言うところの「中国が繰り返す嫌がらせの一端」である。 

台湾外交部は今後も他の民主主義国家との協力の深化に務めるとして、支持を表明したオーストラリアと英国に感謝の意を表した。 

また、南シナ海の正当な海洋権益と自由の重要性を強調した英豪両首脳は、「軍事化、強制、脅迫行為など、緊張を高め、地域の安定と法治に基づく国際秩序を損なう恐れのある一方的な行為」に強く反対すると表明している。   

関連特集: 米国経済