レジ袋禁止や有料化 逆に袋の販売促す プラ廃棄物総量増加に繋がる恐れ=研究

2022/04/27
更新: 2022/04/27

プラスチックごみの削減のために日本や欧米で取り入れられてきたレジ袋有料化や禁止令は、思わぬ結果をもたらすことがわかった。最近の研究によれば、こうした条例はビニール袋の販売を促し、さらにはプラスチック廃棄物の総量の増加につながる可能性もあるという。

この研究論文は学術誌「環境資源経済」に1月末掲載された。研究者たちは、レジ袋の有料化と全面的な禁止の両方によりそれぞれ4ガロン(編集注:日本のスーパーマーケットのレジ袋Lサイズ程度)と8ガロン(同2倍)用のビニール袋の販売の上昇を指摘した。これは多くの消費者が、使い捨てのレジ袋をゴミ袋や持ち帰り袋などに再利用しているという見解と一致している。

この研究を主導したテキサスA&M大学(TAMU)のリチャード・ウッドワード教授とTAMUとジョージア大学のユカイ・フアン教授は、次のように報告している。

「紙袋、プラスチック製レジ袋のいずれかに5セントの料金を設定した場合の効果は、レジ袋を禁止して紙袋に10セントまたは15セントの料金を設定した場合と本質的に同じである。政策立案者は影響を和らげようと、禁止よりも料金を選ぶかもしれないが、消費者への全体的な効果はほとんど変わらない」。

研究によれば、カリフォルニア州のレジ袋規制のある地域は、4ガロンのゴミ袋の売上が55%から75%、8ガロンは87%から110%それぞれ増加した。いっぽう、13ガロンの大きなゴミ袋の売上は比較的変わらなかったという。

フアン教授は、無料で提供されていたレジ袋が消費者にゴミ袋として再利用されるかどうかは、レジ袋規制の有効性を判断するための鍵になると指摘している。

両教授は、2014年以前にレジ袋の規制を可決していたワシントン州、カリフォルニア州サンタクララ郡およびサンルイスオビスポ郡、メリーランド州モンゴメリー郡を調査対象とし、2006年から2014年のニールセン小売スキャナーのデータを使用した。

レジ袋の販売を規制する法律は米国および世界で急速に広まっている。カリフォルニア州、ニューヨーク州、メイン州、バーモント州、オレゴン州、ハワイ州などではレジ袋の禁止法案が可決された。例えば、シカゴではレジ袋1枚につき7セントの税金を課している。レジ袋の統一料金は富や収入に関係なく同じ金額を支払うため、逆進性のある税金と言える。

日本や中国、ニュージーランド、アフリカ諸国でもレジ袋規制が行われている。例えばケニアでは、禁止されているレジ袋を製造、輸入、使用して捕まった人に対して、多額の罰金や禁固刑に処される可能性がある。

両教授は、「レジ袋の規制により持ち帰り用には小さなビニール袋が代用されるため、各店舗は、毎月平均127ポンド以上のプラスチックを購入するようになった。プラスチック消費量への正味の効果は不明だが、各店舗が購入するビニール袋だけを考えてもその重量が大きくなるため、レジ袋の禁止はプラスチック廃棄物の総量の増加につながる可能性さえある」と述べている。

大紀元は、米国のプラスチック産業協会(Plastics Industry Association)、植物由来代替プラスチックのビジネスを展開しているフットプリント社のフットプリント財団、そしてプラスチックに反対する環境保護団体の自然資源防衛協議会(NRDC)に意見を求めている。

大紀元日本 STAFF
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