中共の台湾侵攻は失敗する? 米報告書が致命的弱点を指摘

2022/08/26
更新: 2022/09/01
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 緊張高まる台湾海峡。ペロシ米下院議長が訪台を実現させてから、中国共産党軍は近年まれに見る大規模軍事演習を行うなど、台湾海峡の動向は世界の注目を集めている。習近平氏も「火遊びをすれば、必ず焼け死ぬ」と、巷では台湾侵攻の話題もまことしやかに囁かれている。

ここ十数年の中共軍の軍備増強ペースは非常に早く、周辺地域に圧力をかけ続けている。先述の大規模軍事演習をはじめ、日本もEEZ(排他的経済水域)内にミサイルが着弾し物議を醸した。
 

中共軍の弱点は兵站能力の低さ

そんな中、米海軍大学校の報告書(China Maritime Report No. 22: Logistics Support for a Cross-Strait Invasion: The View from Beijing)が、この台湾侵攻において中国共産党軍(以後、中共軍)が抱える重大な弱点を指摘していた。

報告書の執筆者は元米陸軍中国軍事上級情報官ケビン・マッコーリー氏だ。この報告書は、中共軍の「全軍後勤學術研究中心」が2017年に出版した「内部」刊行物を参考にしている。

報告書は、中共軍は、自軍が大規模な台湾侵攻を成功させるには、兵站支援が重要な決定要因の1つだと捉えているが、それにも関わらず、台湾への大規模な水陸両用上陸を成功裏に支援するのに必要な兵站能力を、現在のところ保有していないと述べている。

兵站とは、戦闘に関わる弾薬や食料など物資の配給や整備、衛生、施設の構築や維持などを意味する言葉で、いわゆる後方支援だ。兵站能力の高低は戦闘に大きく関わる。

多くの人は軍事力の強弱を決定する要因として、兵力規模や強力な武器の所有について注目しがちだ。しかし相手と比べて兵数、装備が上回っているにも関わらず、兵站能力が低いことによって、思わぬ苦戦を強いられることも少なくない。これらの前例は兵站の重要性を物語っている。

近いところでは、今年2月24日に開始されたウクライナ侵攻だ。侵攻前、ウクライナ軍は兵数、装備ともロシア軍とは比べ物にならないとして、ロシア軍優勢の見方が大勢だった。しかし蓋を開けてみると、思いの外、ロシア軍が苦戦したのは記憶に新しい。

もともとロシア軍の兵站に対する考え方は比較的軽視されており、後方支援部隊の割合は戦闘部隊に対して1:1となっており、一般的な軍隊の比率2:3より後方支援部隊の割合が低くなっている。これはロシア軍の兵站に対する考え方で、短期間に敵軍を殲滅する思想を受け継いでいるためだ。

そのため今回のように長期化すると、弾薬や物資が不足し、その結果、苦戦を強いられる。
 

米軍が介入しても台湾上陸を果たすには?

また他にも報告書は、中共軍が海を渡って台湾に上陸する段階で、空中、海上、情報の3点において優位を保つ事の重要性に触れ、米国が介入した場合、60〜70%の制空権と制海権を確保してはじめて国境を越える部隊を十分に保護することができると述べている。

侵攻の際、もし米軍が介入してきたら、中共軍は60〜70%の制空権と制海権を確保出来るだろうか? 米軍はイラク戦争など、いくつかの大規模な戦争を経験しており、軍事演習も頻繁になされ、練度も十分なのに対し、中共軍は軍事演習こそ頻繁に行われてはいるものの、その実力は未知数だ。

制空権と制海権を確保できない中、上陸して橋頭堡を築けたとしても、物資弾薬が届かず、戦闘ができないようでは下手をすると部隊が全滅する憂き目にも遭いかねない。

報告書は「中共軍には大規模な水陸両用作戦を支援する能力もなく、米軍介入後の長期にわたる戦いのための兵站能力も持ち合わせていない」と分析している。また、「中共軍が兵站近代化の面で継続的な改革を行い、数年にわたる持続的な努力と複雑な訓練を行なうことが出来れば、十分な兵站保障の問題を解決できるかもしれない」と述べている。