ハッキング急増を受けて、韓国と米国がサイバーセキュリティで協力

2022/09/30
更新: 2022/09/30

近年、韓国企業に対するサイバー攻撃が着実に増加し、北朝鮮の政権がサイバー犯罪を使って不法な大量破壊兵器やミサイル計画に資金を注入していることを受け、韓国と米国はサイバー脅威に対抗するために協力している。

ポータルサイト「スタティスタ(Statista)」の統計によると、韓国企業への主要なサイバー攻撃は2017年の287件から2021年には630件に急増した。 2021年には、コンピュータシステムを破損し、データ侵害を引き起こす可能性のある悪意のあるコードを含むとして報告されたウェブサイトの数が7,043件にものぼった。 2022年に発生した攻撃には、北朝鮮のハッカーが人材スカウト業者を装ったフィッシングメールを使用して韓国の化学企業を攻撃した事件が含まれていたと、戦略国際問題研究所(CSIS)は報告している。

ワシントンD.C.に拠点を置くアナリストのジューン・リー氏は、非党派のシンクタンク、大西洋評議会が2022年8月に発表した報告書の中で、北朝鮮政府を就役を上げるためにサイバー攻撃を利用しており、2021年に約579億円(4億米ドル相当)の仮想通貨を盗難したとしている。

「最近の北朝鮮のミサイル実験の急増は、地域の安全保障に対するリスクを高めるとともに、違法な収入源を遮断するための共同的取り組みの必要性をさらに強めている」と同氏は述べた。

2022年8月中旬に「韓国ヘラルド」紙が報じたところによると、こうした懸念を踏まえ、韓国サイバー作戦司令部と米国サイバー軍が、サイバー空間作戦における協力と開発に関する覚書に調印した。 この合意は、米国サイバー軍司令官兼局長のポール・ナカソネ大将が韓国の李鐘燮国防相とソウルで会談した際に成立した。 

韓国ヘラルド紙によると、両国のサイバー司令部はこの合意が「サイバー作戦能力を拡大する重要な機会となる」と述べた。 これには、サイバー脅威に関する情報共有の改善とサイバー防衛のための訓練と演習の連携が含まれ、「サイバー空間における共通の敵による脅威を軽減する」ための協力が期待される。

韓国政府系報道機関の聯合ニュースが2022年6月に発表したところによると、韓国軍は2022年10月に米国サイバー軍が主催する「サイバーフラッグ」演習に初めて参加することになる。

2022年8月にソウルで開催された第2回米韓ICT協力委員会年次会合で両国国防省の情報通信技術(ICT)関係者が会談した際にも、サイバーセキュリティと相互運用性が焦点となった。 ニュースリリースによると、参加者らはサイバーセキュリティと技術セキュリティのための共同対策について話し合い、5Gワイヤレスネットワークとクラウドコンピューティングの傾向を評価し、両国防衛ICTプログラムがどのようにより密接に連携して動作できるかを検討した。

2022年7月、アン・ノイバーガー米国国家安全保障副顧問がサイバー問題に関する協力を強化するため、ソウルで韓国の関係者と会談した。 ホワイトハウスは、この会談は2022年5月のサミットで韓国の尹錫烈大統領とジョー・バイデン米大統領が行った、地域的および世界的ーー特に北朝鮮からの――サイバー問題と脅威に関する二国間協力を進めるというコミットメントをさらに強化する機会となったと述べた。