米ノースダコタ州、中国企業のトウモロコシ工場計画を中止 国家安全保障上の懸念で

2023/02/02
更新: 2023/02/02

米ノースダコタ州グランドフォークスのボチェンスキー市長は1月31日、同市で計画されていた中国企業によるトウモロコシ製粉工場プロジェクトを中止する方針であることを明らかにした。

グランドフォークス空軍基地からほど近い場所に位置することから、米空軍は「国家安全保障に対する重大な脅威」として警告を発していた。

ボチェンスキー氏は声明で、地政学的リスクの高まりを受けて、連邦政府からプロジェクト中止に向けた協力要請があったことを明らかにした。

政府の指令によって市は産業インフラの整備と建築許可を拒否するとし、「救済措置を講じるとともに市議会の承認を待ち、プロジェクトの中止を要請する」と述べた。

中国の化学調味料メーカー、阜豊集団(フフォン グループ)は昨年、グランドフォークス市に370エーカーの土地を購入した。米国初のトウモロコシ製粉工場を建設するとしていたが、中国の国家諜報活動の拠点になりうるとして複数の議員や地元住民から反対する声が上がっていた。

直近では、ケビン・クレイマー上院議員らが「プロジェクトは国家安全保障にとって大きな脅威」だと警告する空軍からの書簡を公開。空軍は同プロジェクトが「短期的にも長期的にもこの地域での我々の活動に大きな影響を与えるリスクがある」と記している。

中止の決定を受けて、ノースダコタ州のダグ・バーガム知事は支持する声明を発表した。「阜豊集団によるプロジェクトが国家安全保障に与える影響を明確にするよう政府に求めてきたが、今回ようやくそれが明確になった」「空軍の懸念を考慮し、プロジェクトを停止する措置を開始したことを支持する」と述べた。

グランドフォークス市の住民で、このプロジェクトに反対する草の根運動をリードしてきたベン・グザジレフスキー氏も「人々が立ち上がり、克服する力を持っていることを示すものだ」とエポックタイムズの取材に答えた。その上で「市はより早い段階で中止決定を出すべきだった」と市の対応の遅さに苦言を呈した。

いっぽう、阜豊集団は引き続き370エーカーの土地を所有する。エポックタイムズは同社にコメントを求めたが本記事掲載までに返答は得られなかった。

中国人投資家による米国農地保有の増加を受けて、サウスダコタ州やフロリダ州など複数の州は、中国による米土地購入を禁止・制限する法案を相次いで発表している。

Terri Wu
関連特集: アメリカ政治