米当局、華僑リーダー相次ぎ逮捕 在米華人は歓迎「米国の硬派な姿勢、変わらず」

2023/05/11
更新: 2023/05/11

9日、中国政府の代理人として活動していた中国系米国人の男が逮捕された。先月もニューヨークの秘密警察運営に関与した中国人2人が逮捕されている。自由を望む在米華人はこの流れを歓迎し、変わらない米国の対中硬派姿勢から「中国共産党はもう思うがままにはできない」と述べた。

ボストン・グローブ紙が報じた起訴状によれば、ボストンのブライトン地区在住の梁利堂(音訳、Litang Liang)被告(64)は外国政府の代理人としての共謀や、米国に通知せずに秘密裏に情報提供するといった2つの罪で起訴された。

被告は2018年から2022年にかけて駐ニューヨーク中国総領事館の官と接触。電話やウィーチャットを使って在米中国人らの情報を渡していた。

具体的には2019年にボストンで行われた、犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする香港「逃亡犯条例」に反対する集会で民主活動家の写真や動画を撮影し中国共産党に提供したほか、巨大な五星紅旗を差し出すなどして反対デモを組織したと記した。

中国公安部要員向けのリクルートも手伝っていた。「有能で」「若い」ボストン在住の人物2人の名前と職業所属や、親台湾寄りの地元中国人組織のメンバーリストを中国当局に提供していたという。

香港自由基金委員会の政策コーディネーターを務め、2019年の「逃亡犯条例」反対集会をまとめた許穎婷氏は「4年の歳月を経てやっと逮捕された。ほっとすると同時に、憤りを感じる」とツイートした。

ボストン・グローブ紙によれば、梁利堂被告は11日に行われる拘留審問まで拘留され保釈請求の可否を決定する予定。有罪判決がくだれば最高15年の懲役刑を言い渡される可能性がある。

華僑リーダー相次ぎ逮捕

公開情報によれば、梁利堂はボストン地域の華僑リーダー役を担う「僑領」とされ、中国政府のイベントに頻繁に参加し、ボストンの平和統一促進会の会長を務めた。

米政府は2020年10月、中国共産党中央統一戦線工作部に支える組織として同会を「外国代理人」に指定した。

米国ではこうした代理人の摘発が進む。先月、連邦当局はニューヨークの僑領とされる盧建旺と陳金平の2人を逮捕した。2人は中国政府との共謀や通信妨害、中国が秘密裏に設置した警察署を運営することに関与したとされる。

前出の許穎婷氏は、こうした違法な警察署などは「中国共産党による越境弾圧の規模を示している」と指摘。いっぽう、米政府は対中硬派を崩す気配はなく、中国共産党はもう思うままに動くことはできないと述べた。

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