インド太平洋の魚、乱獲の危機…3分の1以上が中国船籍

2023/06/07
更新: 2023/06/07

世界各地で加速している違法・無報告・無規制(IUU)漁業による被害が深刻化している。IUU漁業は、年間最大2600万トン、約3兆2350億円(230億ドル)相当の漁獲量の損失を生み出し、重要な漁獲資源の枯渇、犯罪組織による乗組員の虐待、海洋生態系の破壊といった深刻な問題を引き起こしている。

2017年末、国連総会は6月5日を「IUU漁業との闘いのための国際デー」と宣言。この違法行為が「海洋資源の保全と管理、そして多くの国、特に途上国の食料安全保障と経済に対し大きな影響を及ぼしている」ことを強調した。

国際連合は、世界の漁獲量の20%を占めるIUU漁業を抑止・撲滅するための国際計画を実施するよう各国に呼び掛けている。ファイナンシャル・トランスペアレンシー・コーアリションの2022年10月のレポートによれば、2010年から2022年までのIUU漁業に従事した船舶の3分の1以上が中国籍で、関与した上位10社のうち8社が、世界最大の遠洋漁業船団を有する中国のものであるとのこと。

インド太平洋全域で、魚が主要なタンパク源であり、多くの海域が乱獲の危機に瀕している。志を同じくする国々が協力して、このような行為に立ち向かう。米国沿岸警備隊は、マルチミッション「ブルーパシフィック作戦」の一環として、オセアニアの安全、セキュリティ、主権、経済的繁栄を促進するために、提携諸国の関係機関と共に合同巡視を実施しています。

その一方で、米国沿岸警備隊の哨戒艇「オリバー・ヘンリー」号は、太平洋での9700キロに及ぶ巡視活動を終え、その間、沿岸警備隊員と地元の海洋法執行官がパラオの排他的経済水域(EEZ)内で外国籍の漁船5隻に乗船して規制遵守を徹底した。

数週間前には、「ジュニパー」号がIUU漁業の抑止を目指した1か月間の任務を完了し、ハワイに帰港。二国間協定に基づき、フィジーの海軍、警察、漁業省、歳入関税庁から4名のシップライダーがジュニパー号に乗船した。

哨戒艇指揮官ティモシー・ボナー(Timothy Bonner)大尉は、2023年2月のニュースリリースで、「ジュニパーの乗組員にとって、フィジーのパートナーと共に排他的経済水域の巡視を支援する機会を得たことは光栄だった」と述べている。

シップライダー協定は、資源が豊富で広大な排他的経済水域を守る資源に乏しい太平洋島嶼国にとって、貴重な手段となっている。2022年後半、米国沿岸警備隊哨戒艇「フレデリック・ハッチ」号のチームが、マーシャル諸島、ミクロネシア、ナウルの海事執行機関のシップライダーを含み、16隻の漁船に乗船して5件の警告を出した。

2023年5月下旬、パプアニューギニアと米国は、IUU漁業やその他の海洋の脅威に対抗するための協定を締結し、米国沿岸警備隊のシップライダー・プログラムにパプアニューギニアが参加できるようになった。米国国務省は、「この協定の締結は、この地域における良好な海洋ガバナンスを促進するために協力するというコミットメントを示すものだ」とコメントしている。

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