オピニオン データは中共と西側諸国との闘いの鍵に

米国の専門家が警告する中国共産党のデータ収奪(1)–デルタ航空、TikTokを禁止

2023/07/10
更新: 2023/07/10

米国のデルタ航空はTikTokを禁止した。デルタ航空の従業員は7日の午後までに、会社のシステムに接続する携帯電話、パソコン、その他のスマートデバイスからTikTokを削除しなければならなかった。

デルタ航空は、米国でTikTokの使用を制限する最新の企業である。中国のアプリが米国のデータを利用することへの懸念は、ついに広範囲に影響を及ぼし始めた。

専門家によれば、それはすぐには起こりえないことだという。

北京は、世界的なデータの奪い合いを、西側諸国との戦略的競争の重要な一部と考えている、 中国ハイテク企業にデータを共有させ、その目標を達成するよう強いている。

「中国の世界データ支配のための大戦略」と題された最近のフーバー研究によると、中国の指導者である習近平氏は、データを中国共産党(中共)と西側諸国との生死をかけた戦いにおける最も重要な資源と見なしている。

まずは中国、次は世界

中共によるデータ争奪戦は、まず中国国民を対象としている。

2015年に、中国国務院総務庁が発表した文書は、ビッグデータを利用して政府の監督と管理を強化し、個人の行動を規制する「社会信用システム」の構築を加速することを推奨している。

2016年、習近平氏は中国の情報・安全保障機関に対し、「24時間365日、全方位のネットワーク・セキュリティ状況意識」を採用するよう要請した。

「習氏が中国で行っていることは、彼が他国で行おうとしていることだ。つまり監視と統制の良い前例」と、戦略国際問題研究センターのジェームズ・ルイス上級副所長は7月3日、エポックタイムズに語った。

データ収集は海外にも拡大

その後、中共のデータ争奪戦は海外にも拡大した。ソーシャルメディア企業のTikTok、電子商取引企業のTemu、DJIドローン、BGI Genomics、WuXi AppTecなども含む中国のインターネットやハイテク企業が海外へ群がり、その多くが中共政権のスパイになっていると報じられている。

フーバー報告書によれば、海外に進出する中国のテクノロジー企業は、中共のデータ保管や処理、制御、セキュリティシステムと統合されていると指摘した。中共が管理するデータプラットフォーム、アプリ、企業を通じて、西側ユーザーはエコシステム全体にアクセスし、そこに留まり、そこから中共が継続的にデータを盗むことができる。

「党は長い間、民間企業に党組織の設立を要求し、民間企業を屈服させるために合法的・超法的手段を用いてきた。その圧力は、アリババなどのテクノロジー企業に対して最も強かった」

2016年、中国サイバースペース管理局の任賢良副局長はこう述べた。

「( 2014年に)中国サイバースペース管理局が設立されて以来、我々はインターネット企業内の党建設活動を非常に重視している。それは(中国の)インターネット産業の発展にとって戦略的な課題だ」

元米太平洋軍の統合情報センター作戦部長のカール・シュスター米海軍大佐は、中共の指導者が中国企業の海外進出を促しているとみている。

「中国の法律は中国国内で開発された、または中国企業によって開発されたすべての情報は中共と中国の所有物であると指示している。それを考慮すると、収穫されたデータは、米国を弱体化させ、世界情勢への主要な影響力として取って代わろうとする中国の努力のあらゆる側面に不可欠な洞察と情報を提供する」と、シュスター氏は7月1日にエポックタイムズに語った。

「例えば、米国人の娯楽、製品、情報源の嗜好に関するデータは、中国のビジネスマン、貿易関係者、諜報関係者、政治戦争アナリストにとって非常に有益だ。紛争において、米国の無人偵察機を妨害したり、米国の無人偵察機の使用に関するデータを所有することは、中国軍の指揮官が米国の軍事作戦や計画を予測し、解釈することをよりよく可能にする洞察力を提供するかもしれない」と述べた。

コアー・アナリティクス社(Corr Analytics Inc.)の代表であるアンダース・コー氏は、データは経済、政治、軍事など、国家の権力と拡大に必要なすべての近代的システムの鍵であるにもかかわらず、それを理解している米国人や同盟国はあまりにも少ないと指摘した。

北京はTikTokユーザーデータにアクセスできる

代表的な例としては、2023年現在、中国企業のバイトダンスの子会社であるTikTokのユーザー数は16億7700万人以上である。

TikTokはユーザーから幅広い範囲のデータを収集することができ、ユーザー名、年齢、メール、パスワード、電話番号、位置情報、メッセージの内容、クリップボードのテキスト、画像とビデオ、支払いカードの番号、請求先と配送先の住所、ユーザーのIPアドレス、顔紋や音紋などの生体識別情報が含まれており、すべてが中共にアクセス可能。

「中国政府は世界の他の国々の透明性を利用しながら、自国のデータをますます管理している」とバイトダンスの米国部門の元執行部の幹部(エグゼクティブ)であるユー・インタオ(余銀濤)氏は指摘した。

(続く)

 

2019年からエポックタイムズに寄稿している。
Jenny Li
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