元カナダ騎馬警察官 中共の情報収集を支援した疑いで逮捕される

2023/07/27
更新: 2023/07/27

元カナダ騎馬警察のウィリアム・マジャーは、組織犯罪集団に潜入し、マネーロンダリング(資金洗浄)の調査を支援していた。

しかし現在、マジャーは中国共産党(中共)のために、自身の知識とカナダでの広範なネットワークを利用して情報やサービスを取得し、カナダ法の範囲を超えて他者を特定し脅迫した疑いで、カナダの騎馬警察に起訴されている。

マジャーは先週香港からカナダに帰国した後、20日にバンクーバーで逮捕された。

カナダのCTV Newsの報道によれば、ウィリアム・マジャー被告は2007年にカナダ騎馬警察を退職した後、香港に移住し、2016年にEvaluate Monitor Investigate Deter Recover(EMIDR)という企業の設立を手伝った。

被告は以前のインタビューで、この会社を設立する目的は、中国と中国企業の盗まれた資産を回収することを支援するためだと述べた。 

マジャー被告はABCに対し、「私たちが行う全てが合法で正当だ。請求が有効である限り、私は大企業や政府が正当に得るべきものを取り戻すために雇われた者なのだ」と述べている。

3人のセキュリティ専門家によれば、被告はおそらく中共の悪名高い「キツネ狩り作戦」と呼ばれる汚職対策キャンペーンの一員であった可能性が高いという。

モントリオール統合国家治安執行チームの責任者であるデイビッド・ボードワン氏は、マジャー被告に対する調査を担当している。

被告がキツネ狩り作戦に参加していたかどうかについては、「裁判所の仕事を尊重する」という理由で回答を断ってきた。

2014年に設立された「キツネ狩りネットワーク」は、後に「天網」と改名され、海外在住の中国人をターゲットにしている。

この計画の下で、中共は海外の警察、私立探偵、弁護士を雇い、金融犯罪の疑いのある逃亡者を追跡し、中国に連れ戻すのを助ける。

中共が2022年10月に発表した最新の統計では、「キツネ狩り作戦」および「天網」を通じて、すでに1.2万人以上の中国人が「非自発的送還」された。

スペインの非政府組織「セーフガード・ディフェンダーズ」によると、容疑者は身柄引渡し、脅迫、誘拐などの秘密手段を通じて中国に連れ戻されることが多い。また、中国と犯罪人引渡し条約を結んでいる別の国に誘い出され、そこで逮捕されることもある。

同組織は、中国に強制送還されたすべての人が犯罪容疑者であるわけではない。中共はこのシステムを利用して批判者を追い詰めることもあると指摘した。

異例の告発

カナダ騎馬警察は、マジャー被告が外患誘致に関連する活動に関与し、その知識と広範な人脈を利用して、中共政府がカナダ国内の個人を「特定し、脅迫する」のを支援したとして起訴した。

キツネ狩り作戦を研究している元軍事情報官のスコット・マクグレガー氏は、被告が中共政府の指定した犯罪容疑者の追捕を助けたという事実が、この告発の原因になっている可能性があると述べた。

「中国側は、収集した情報を利用して、これらの人々の居場所を特定し、どのような手段で彼らを連れ戻すか、あるいは彼らの資産を取り戻すかを決定する可能性が高い。しかし、これはグレーゾーンだ。表面的には、反腐敗活動は国際法で許されている」と同氏は述べている。

カナダ政府が態度を一変

2016年9月、李克強前首相がカナダを訪問した際、両国は盗まれた資産を追跡し、共有する犯罪者引渡し条約を結んだ。

これは中共が2014年に腐敗撲滅運動を開始して以来、カナダはこの種の条約を中国と最初に結んだ国だった。

その5年後、カナダ政府は態度を変え始めた。2021年2月、カナダ公安省はキツネ狩り作戦について警告を発し、中共当局の腐敗撲滅行動は犯罪者を対象とするだけでなく、「異議を抑圧し、政治的なライバルに圧力をかけ、(中共の)国家権力への恐怖感をカナダ国内に広める」ためにも使用される可能性があるとした。

2021年秋、カナダ騎馬警察はマジャー被告に対する調査を開始した。

カナダ人も標的に

警察は被害者の名前を公表していないが、他のキツネ作戦に関連する事件は公開されている。

NGO香港ウォッチの政策顧問であるキャサリン・リアン(Katherine Leung)氏は、元カナダ騎馬警察のマジャーの事件は、華人コミュニティの法執行機関に対する信頼を損なう可能性があると指摘した。

「このようなことが起きたら警察に電話するようにと言われたが、この事件は、騎馬警察であった人物が、次の日には中共の仲間になる可能性があることを示している。これは『移民団体が外国からの干渉や脅迫を報告するためのより良い方法を必要としている』ことを示している」と同氏は述べた。

リアン氏はまた、この事件は外国代理人登録処を設置する必要性も示している。登録処があれば、マジャー被告は法律に従って、自分が中共政府のために働いていることを明らかにし、秘密裏に活動することはできないだろうと指摘した。

カナダ騎馬警察は、100件以上の外国からの干渉・関与事件を捜査しており、マジャー被告の事件について、さらに逮捕と起訴が行われる可能性があると表明した。

周行
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