脱退者が急増する中共医療保険 「美味しいもの買った方がまし」=中国市民

2023/12/11
更新: 2023/12/11

「(健康)保険は医療負担を軽減してくれない。健康を維持するためなら、美味しいものをたくさん買った方がマシだ」

「フィナンシャル・タイムズ」などのメディアによると、多くの中国人が貧困に喘ぐ中、健康保険料が高騰し、昨年、中国本土で1900万人以上の人々が健康保険から脱退したという。

中共(中国共産党)の公式データでは、2020年に新型コロナウイルス(私たち大紀元グループは「中共ウイルス」と呼んでいる)のパンデミックが発生して以来、計4130万人が健康保険から脱退しており、昨年だけでも、医療保険加入者数が記録的に1900万人減少した。失業率が上昇し、人々は経済的困難に直面している。

さらに、中共幹部やアナリストは、2023年1〜9月にかけて、中国8省のうち、7省で医療保険加入者数が前年比で減少する兆候が見られたと警告している。今年は医療保険加入者数がさらに減少すると推測されている。

中国の医療保険には「都市職工基本医療保険(強制加入)」:都市で働く会社員(農村戸籍者も含む)、自営業者、公務員が対象と「都市・農村住民基本医療保険(任意加入)」:高齢者、非就労者、学生・児童、農村部住民、都市職工基本医療保険の被保険者に扶養されている家族が対象の2種類ある。2022年の都市職工基本医療保険加入者数は増えたが、農村住民基本医療保険加入者数は激減した。その結果、総加入者数は大幅に減少している。

特に農村部の家庭は、保険料や自己負担額の増加、健康保険の適用範囲の狭さ、世帯収入の減少などにより、健康保険に加入する余裕がない。

近年、医療保険料が大幅に上昇し、国民の収入増加率よりもはるかに上回っている。中共国家統計局のデータによれば、主要医療保険の最低保険料は2018年以降、2倍以上に上がったが、出稼ぎ労働者の平均的賃金は24%しか上昇していない。

さらに、中国では、自分が保険料を払っている地域以外で受診する場合は、全額自己負担が原則となっており、例えば農村部の人々が大都市の病院で治療を受ける場合、時には50~70%も高額な治療費を請求される。

湖南省の45歳の出稼ぎ労働者、エン・レイシャさんは今年、医療保険を脱退すると決めた。エンさんは3月に腰の手術に2万元(約41万円)かけたが、保険でカバーされたのは40%未満だった。

エンさんは「保険に加入しても医療費の負担は減らない。健康でいるためには質の高い食べ物にもっとお金をかけたほうがいい」と語った。

湖北省農村部の元建築作業員であるリ・ウェーホーさん(55)は今年、数か月間仕事がなかった。その後、年間380元(約7890円)の医療保険を脱退した。リさんはフィナンシャル・タイムズ紙に、「限られた貯蓄を最大限に活用しなければならない。医療保険は最優先事項ではない」と語った。

徐簡
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