日本の特定重要物資「永久磁石」は新世代でレアアース・フリー目指す、高市大臣

2024/02/28
更新: 2024/02/29

永久磁石はモーターの性能を決定づける基幹部材だ。日本はこれまで高性能な永久磁石の開発において世界をリードし、磁石利用機器の小型・軽量化、省電力化、高出力化など、性能向上に寄与してきた。日本政府は令和4年12月、この永久磁石を特定重要物資として政令で指定した。そして、既存の永久磁石に代わる「重希土フリー磁石/レアアースフリー磁石」を新たに開発する。

永久磁石開発における日本の貢献 出典:内閣府、経済産業省 図作成:大紀元

永久磁石は、自動車等の輸送機器、ロボット等の産業機器、風力発電、携帯電話等の電子・通信機器、冷蔵庫・エアコン等の家電等、非常に幅広い用途で用いられる。

永久磁石は日本の経済活動においてキーマテリアルだ。例えば、永久磁石モーターを供給できない場合、自動車等の輸送機器については、航続距離の低下等深刻な競争力低下が生じる可能性が高いという。しかし、永久磁石はサプライチェーン上に課題を抱えている。永久磁石の原材料であるレアアースが中国を含む特定国に依存しているのだ。安定供給確保の観点から大きなリスクとなっている。

実際に 2010 年には中国によるレアアースの輸出管理措置が発動され、磁石生産に遅れが発生する等の事態が生じた。永久磁石の生産企業は主に中国、日本の2か国に偏っており、かつ自国内にて資源採掘から磁石製造までの一貫製造体制を有し、低コストで磁石製造が可能な中国企業が大幅な生産能力増強を行うことで日本のシェアが低下し続けているという。

一方、磁石の中で最も大きな磁力を誇るネオジム磁石の性能向上は限界にきているという。更なる性能向上には、ネオジム磁石に代わる新たな永久磁石を開発する必要がある。

このため、既存の永久磁石に代わる「重希土フリー磁石/レアアースフリー磁石」を新たに開発し、磁石の高耐熱化・高磁力化と資源リスクの低減を通して、磁石並びに磁石を用いる製品の優位性を維持・拡大することを目的とする取組みを日本政府は進めている。

高市早苗・経済安保担当大臣は、自身の動画チャンネルで、重希土フリー磁石の開発について、次のように語った。

永久磁石とは?

聞き手:昨年12月から公募が始まったKプログラム(経済安全保障重要技術育成プログラム)のプロジェクトの中で、1月12日に締め切りだった資源リスクを低減する重希土類フリー永久磁石の開発について伺います。年末に特定重要物資の説明で伺ったばかりですが 改めて永久磁石とは何かおさらいをさせてください。

高市大臣: 永久磁石というのはモーターの性能を決定付ける基幹部材と言ったら分かるかなと思うんですが、EVですとか発電機、航空機、それから家電製品、また人工衛星、ドローンなど幅広い用途に使用されています。ですから国民の皆様の生活、安全を守る上では非常に重要不可欠な物資でございます。

聞き手: 日本の永久磁石の製造技術は世界に劣るのでしょうか?

高市大臣: これまで日本は最も強い磁力を誇り 今後も市場拡大が見込まれるネオジム磁石を含む 高性能な永久磁石の開発で世界をリードしてきました。 だから絶対に世界に比べて劣っているわけではなくて、日本が世界一と思ってください。

日本の技術は、この磁石利用機器の小型化、軽量化、省電力化、高出力化など、その性能向上に貢献してきたんですね。

ただこのネオジム磁石の性能向上については、日本がすごく頑張ったので、すでに限界の域に達してるのです。これ以上の性能向上というのは、ちょっともうないかなということになった。この結果、海外の企業がやっぱり真似をしますから、キャッチアップしてくるということが起こっていて、現在世界のネオジム磁石の市場シェアの8割が、中国の企業になってしまいました。

そこで、日本がさらなる性能向上、もっとすごい磁石を作ってやろうということを目指そうと思えば、ネオジム磁石に代わる新たな永久磁石を開発する必要があるということなのです。

重希土フリー永久磁石とはどんなもの?

聞き手: 日本が今開発を目指している重希土フリー永久磁石とはどのようなものでしょうか ?

高市大臣: 永久磁石の多くは、性能向上のためにレアアースを含有しています。ネオジム磁石は主に軽希土類と言われるネオジム・鉄・ホウ素からなっているんですけれども、先程、性能向上と言いましたよね。耐熱性を向上させるために重希土類であるジスプロシウムやテルビウム、こういった重希土類を加えているんですが、それをほぼ100%中国からの輸入に依存しているということです。原材料の確保にかかるサプライチェーンリスクが存在しているというのが現状なんです。そこでこのKプログラムでは、既存のネオジム磁石に代わる重希土フリー次世代磁石を新たに開発するということです。

つまり、省レアアースの重希土フリー次世代磁石っていうのはですね。これまでさまざま検証してきたんですが、ネオジウム磁石に比べて、高耐熱性・高磁力性となるポテンシャルを有するということが分かりました。このネオジム磁石の代替技術によっていろんな種類のモーターのさらなる小型軽量化、省電力化、高出力化が実現でき、性能向上と資源リスク低減というものに貢献できる、これを狙っております。

日本は国際競争に勝てるか?

聞き手: この開発では国際競争には勝てそうでしょうか?

高市大臣: 私は勝てると思ってます。実は世界でも永久磁石のサプライチェーン構築の動きは広がっております。欧米では新しく法律を制定したり、政府の取り組み方針が作られたり、複数の研究開発も行われています。

EUでは2023年3月に 欧州重要原材料法の改正案が公表され、EU域内における生産加工処理、リサイクルの指標というものが設定されました。EUの研究開発プロジェクト『Horizon(ホライゾン) 2020』では45件の磁石開発関係のプロジェクトが実施されました。Horizon 2023、2024の計画では、レアアースおよび磁石のイノベーション・ハブを、創設することが公表されました。

米国も頑張っています。2022年に永久磁石のサプライチェーン確保の取り組み方針を公表して、国内レアアース確保への投資をすることになり、それから磁石の研究開発を行っています。しかし他所の国ではですね、この『省レアアース重希土フリー次世代磁石』というものの研究については、まだ基礎段階にございますので、日本が現在、他国を大きくリードしている、そういう状態なんですね。

永久磁石は、経済安全保障上の重要物資で、レアアース重希土フリーの次世代磁石を、日本が他国に先駆けて実現するということによって、日本のサプライチェーンリスクも低減されます。そして、自動車、航空宇宙機器こういったものの各種モーターのさらなる小型軽量化、省電力化、高出力化につなげていくということによって、磁石そのものの優位性だけじゃなくて、最終製品の優位性もしっかりと獲得することが狙えると。つまり日本に世界から富が入ってくる という形となり、これは日本にとって大きなチャンスだと私は思っております。

若いころはHG/PGに明け暮れ、中年になると、アジア各国での日系工場の立て直しに実績有り。同時に小説をプロに習い、書き始める。 エポックタイムズ掲載:「UFOと老人」、「千代能比丘尼物語」、「時間を無くした男」 アマゾン出版:「南十字星の少女戦士」など。
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