パナマが「一帯一路」離脱表明 運河巡る中共支配への米懸念を受け

2025/02/04
更新: 2025/02/04

パナマは、中国共産党(中共)が唱える広域経済圏構想「一帯一路」からの離脱を決定した。この決定は、パナマ運河をめぐる中共の影響力への米国の懸念を払拭する狙いがあるとみられ、米国との関係改善を図る重要な動きとなっている。

パナマは2017年に中国の一帯一路構想に参加する協力覚書を締結したが、ムリノ大統領は今回、この覚書を更新しない方針を示した。さらに、失効前に打ち切る可能性も示唆した。覚書の更新は3年ごとに更新する予定。

「一帯一路」の離脱は、ルビオ国務長官がパナマを訪問した後で決定された。就任後初の外遊でパナマを訪問したルビオ国務長官は、会談でムリノ大統領に対し、中共の影響力を減らすよう求め、改善がなければ必要な措置を講じると警告していた。

ルビオ国務長官は、パナマの決定を「米・パナマ関係と自由なパナマ運河にとって大きな前進」と評価。米国の国家安全保障と繁栄に寄与するものと述べ、歓迎の意を示した。

一方、中共の傅聡国連大使は、パナマの決定を「遺憾」とし、「一帯一路」構想に対する「米国など西側諸国の中傷は全く根拠がない」と反発している。

この決定は、パナマ運河における中共の影響力に対する米国の懸念を背景にしており、以前よりトランプ大統領は、パナマ運河が中共に支配されているという懸念を表明し、運河の管理権を米国に引き渡すよう要求していた。

パナマ運河は世界の海上交通の6%を扱う重要な通商路であり、戦略的重要度が高い。米国はその中立性を重視している。

パナマの「一帯一路」からの離脱表明は、中南米における中共の経済的・政治的プレゼンスが後退する端緒となる可能性や、他の中南米諸国にも波及する可能性などがある。