記者が政府効率化省（DOGE）の複数の職員名を暴露した後、職員や責任者であるイーロン・マスク氏に対する脅迫が急増している。

DOGEの職員に詳しい情報筋は、トランプ大統領の政府改革の公約を実現するために働く職員たちの間には、困難に直面しても立ち直る力強さが感じられると説明した。

「若いDOGEのエンジニアたちは、これほどの敵意を個人攻撃として受けることに驚き、当初は準備ができていなかったようです。しかし、彼らはエネルギッシュで、踏みとどまっています」と、DOGEの運営に詳しい関係者が匿名を条件に語った。この関係者はメディアに話す権限を持たないため、匿名で取材に応じた。

DOGEは多くの民主党議員から批判を受けており、政府データへのアクセスを制限しようとする複数の訴訟にも直面している。しかし、ホワイトハウスが大紀元に明かした初期の実績によれば、同省が指摘した削減額はすでに数十億ドルに達しており、これは氷山の一角に過ぎない可能性がある。

DOGEは設立から18か月間の活動期間中に、連邦支出を2兆ドル削減することを目標としている。同省の活動は1776年7月4日のアメリカ建国250周年にあたる2026年に終了する予定だ。

情報筋は、DOGEは「まだ選別段階にある」と語った。

DOGEがさまざまな障害を克服しようとする中、すでに達成された数十億ドルの削減額は、始まりに過ぎないかもしれない。

脅迫の中での職員の状況

大紀元は、SNSプラットフォーム「Bluesky」に投稿されたDOGEおよびその職員に向けられた多数の投稿を確認した。その多くは氏名、年齢、住所など、個人を特定可能な情報を拡散していた。

情報筋によると、DOGE職員の名前が漏洩した後、連邦法執行機関が職員の家族を保護するために派遣されたという。大紀元は記事執筆時点で、国土安全保障省の確認を求めたが得られていない。

Bluesky上では、匿名のユーザーがDOGE職員を「ナチスのクズ」と呼び、「唯一良いナチスは死んだナチスだ」と投稿。さらに、数人のDOGE職員の名前が記載されたリストも公開された。

また、ボストン大学ビジネススクールの職員と思われる名前のBlueskyユーザーが、「指名手配」のグラフィックを投稿。その画像にはDOGE職員の名前や顔写真が掲載され、「生死を問わず（Dead or Alive）」という言葉が添えられていた。

ボストン大学は声明を発表し、「この投稿は、職員が個人のSNSアカウントで行ったものであり、クエストロムビジネススクールの価値観を反映するものではない」と述べた。

脅迫に対する議会の反応

米国会議員からも、これらの脅迫に対するショックと怒りの声が上がった。

下院DOGE議員連盟（DOGE Caucus）の共同議長であるブレイク・ムーア議員は大紀元に応じ、「ひどいことだ。事態の深刻さを完全には把握していないが、非常に恐ろしい」と述べた。

一方、DOGE批判派のワトソン・コールマン議員の広報担当者は、「いかなる理由であれ、いかなる形であれ、誰に対しても政治的な暴力を振るうことには断固反対する」と語った。

エリック・スウォルウェル下院議員の広報担当者も「DOGE職員に対する脅迫を非難する」とコメントを発表した。

また、DOGEの影響に懸念を持つラウル・ルイス議員は、「いかなる種類の暴力も断固として非難する」と述べた。

死の脅迫を行う者たちは刑務所に行く必要がある。そうしなければ、この行為は止まらない。

            　　　　　　　——デリック・ヴァン・オーデン下院議員

下院DOGE議員連盟の防衛・退役軍人問題を担当するデリック・ヴァン・オーデン議員は、「これらの人々の個人情報を暴露し、脅迫した者たちが法律を破ったのであれば、刑務所に投獄されるべきだ」と強調した。

さらに「私は拘置所や罰金の話をしているのではない。死の脅迫を行う者たちは刑務所に行く必要がある。そうしなければ、この行為は止まらない」と付け加えた。

プライバシー法と法的措置

プライバシー法に基づき、連邦職員の個人情報を公開した場合、機関職員やその他の人物は軽犯罪に問われ、最大5千ドルの罰金が科される可能性がある。また、SNS上の脅迫が州をまたぐ通信に該当する場合、最長5年の懲役刑が科される可能性もある。

ワシントンD.C.地区の新任連邦検事エド・マーティン氏は、マスク氏とDOGEのリクルーターであるスティーブ・デイビス氏に宛てた公開書簡で、「DOGEに対して法を破った者や倫理的に不適切な行動を取った者は、地球の果てまで追及されるだろう」と述べ、厳格な責任追及を約束した。

DOGE職員への攻撃とその背景

DOGEに詳しい情報筋によれば、職員たちは「殺意に満ちた非常に個人的な標的」にされたことに当初驚いたという。

DOGEは、米国デジタルサービスを改組した一時的な組織。トランプ氏とマスク氏が選挙活動中に有権者にこの構想を示していた。トランプ氏は就任初日に発令した大統領令でこの省を設立し、DOGEチームを連邦政府全体に配置した。

また、2月の大統領令で、各機関の責任者に対し、DOGEと協力してパフォーマンスの低い職員を削減し、政府職員の数を減らすよう指示している。

DOGEに関わっている職員の多くは非常に若く、高度な技術的能力を持っているとされる。報道によれば、ある職員はAIを使って古代ギリシャの巻物を解読し、70万ドルの賞金の一部を獲得した。この巻物は、約2000年前のヴェスヴィオ火山の噴火で焼失したものである。

別の情報筋は、DOGEの職員について、現代の連邦政府機関の典型的な職員とは異なる存在だと述べた。それは、多くの偉大な科学者や技術者が公務に生涯を捧げていたマンハッタン計画やアポロ計画の時代から大きく離れた現状を反映している。

DOGE と公に関係のある人物の多くは非常に若く、高度な技術を持っている。

同筋は、DOGE職員に対する敵対的な反応について「現代における『偉大な人物』の典型像への反射的な懐疑と敵意」によるものだと分析。極めて個人的な攻撃は意図的にそのイメージを壊す戦略の一環である可能性があると述べた。

DOGEと情報漏洩

DOGE発足からわずか数週間で、連邦機関内の匿名の情報提供者がDOGEやその職員に関する詳細をジャーナリストにリークする事態が発生している。これは、1期目のトランプ政権に起きたことを彷彿とさせる現象だ。

一方、DOGEはXで予算削減の成果を記録している。また、DOGEの簡素な公式サイト（doge.gov）には、「これまで達成した節約額の詳細は遅くともバレンタインデー（2月14日）までに公開する」と記載されている。

DOGEに詳しい情報筋は大紀元に、「DOGEの職員らは完全に行動重視で、物語やメディアの扱い方に全く馴染みがない。彼らは、官僚的な無能さがはびこるこの時代において、純粋な『実行者』そのものだ」と語った。