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シンガポールの前首相夫人が習近平批判記事を再シェア シンガポール政界と中国の波紋

2025/04/25
更新: 2025/04/25

シンガポールの前首相リー・シェンロン氏の妻であり、元テマセク・ホールディングス最高経営責任者(CEO)のホー・チン氏が、自身のフェイスブック上で、習近平に関する批判的な記事を再びシェアし、世間の注目を集めた。

ホー氏が共有したのは、シンガポールの評論プラットフォーム「クリティカル・スペクテイター(Critical Spectator)」に掲載されたマイケル・ペトレイアス氏の論考である。この記事では、アメリカのトランプ政権が中国に対して新たな関税圧力を加え、中国が外交的に孤立する状況を分析している。

ペトレイアス氏によれば、トランプ政権は、中国製品に最大145%の関税を課し、交渉に応じる75か国には90日間の関税猶予を設定することで、中国を国際社会から切り離し、中国共産党(中共)政府に、多国間交渉での譲歩を迫る戦略を展開してた。また、中国国内では、輸出の停滞やサプライチェーンの移転といった経済的な圧力が強まっているという指摘もなされ、特に注目を集めたのが、記事に添付された「習近平が屋外の椅子に一人で座り、マスクを着用している」写真である。この画像は、中共党首の孤立感を象徴するものであり、ホー氏がこの写真をシェアしたことで、再び話題が広がった。

ホー氏による習近平批判は今回が初めてではない。直前には、習近平を「マフィアのボス」に例えた記事をシェアしており、「習は12年間、まるでマフィアのボスのように振る舞ってきた」とする内容が大きな議論を呼んだ。記事はまた、習近平が東南アジア諸国を歴訪して「魅力攻勢」を仕掛けているものの、かつて近隣諸国を搾取してきた過去があるため、今さら友人やパートナーとして迎えられることは、滑稽であると、痛烈に批判した。

ホー氏は、中国清華大学経済管理学院の顧問委員を務めており、中国の前副主席・王岐山氏とも親しい関係にある。時事評論家の唐靖遠氏は、ホー氏の行動に、中国共産党内の権力闘争が反映されている可能性を示唆し、清華経管学院は「朱鎔基・王岐山派」との結びつきが深く、ホー氏が中共内部の高層情報に接する立場にあるとも考えられる。

さらに、ネット上で「投稿を削除すべき」との声が上がったものの、ホー氏は、それに応じず投稿を維持した。この姿勢から、一部の中共高層が彼女を黙認または支持している可能性も見える。

テマセクは、中国に2兆元以上を投資しており、習近平が報復措置を取れば甚大な影響を受けるおそれがある。しかし、ホー氏はそのリスクを顧みず、なおも発言を続けており、習近平派に対抗する勢力の存在をうかがわせる動きといえよう。

中国共産党内の権力構造に変化が生じているか否かは、公式には明らかでないが、ホー・チン氏の行動は、政界に少なからぬ影響を及ぼした。

新唐人