中国に納入予定だったボーイング737MAXが、米中貿易戦争が激化する中、返送された。ボーイング最高経営責任者(CEO)は、他国への納入を進めて、業績回復を図る方針を示し、関税が航空業界に与える影響について言及した。
中国共産党は、トランプ大統領による関税措置に対する報復として、中国の航空会社に対し、ボーイング機およびアメリカ製航空機部品の受け取りを停止するよう命じた。4月23日、ボーイングCEOは、中国向けに製造された機体がアメリカに戻り、他国の航空会社に引き渡されること、そして中国共産党による報復がボーイング社の回復を阻むことはないと強調した。
23日、オルトバーグ氏は、CNBCの番組「Squawk on the Street」に出演し、「関税の影響により、中国側はすでに航空機の受け取りを停止した」と発言した。
オルトバーグ氏は、中国向けに製造した複数の737MAX機を、アメリカに戻した事実を明らかにし、また、同社は関税による損失を避けるため、今後中国向けに製造する予定の機体も、他国の顧客に引き渡す可能性があると述べた。
「MAX機を求める顧客は多数存在しており、長く待たせるつもりはない。この問題が会社の回復を妨げることは容認しない」と、オルトバーグ氏は語った。
同日、ボーイング社の株価は昼の取引で6%上昇した。
ブルームバーグは4月21日、事情に詳しい関係者の話として、「エア・インディア(Air India Ltd.)」が他のアジアの航空会社と同様、米中貿易戦争によって発生した供給の空白を利用し、中国の航空会社が受け取りを拒否した機体の引き取りを希望していると報じた。
マレーシア通信社は4月20日、マレーシア航空グループが中国の航空会社が辞退した機体の納入枠を巡り、ボーイング社と交渉していると伝えた。
オルトバーグ氏は同日、アナリストに対し、「今年の全体計画には非常に満足しているが、中国情勢が第1四半期における引き渡し実績の伸びを相殺するだろう」との見解を示した。
米中両国は互いに100%を超える関税を課している。
オルトバーグ氏は、中国が関税問題により機体を受け取らない唯一の国である一方、ボーイング社はヨーロッパが報復関税を課す可能性にも注意を払っており、ホワイトハウスと協議を行っていると述べた。
「私たちは毎日、政府関係者と接触している。……閣僚や大統領本人とも意見交換を行っている」とオルトバーグ氏はトランプ大統領との関係を語った。
ボーイングは、日本やイタリアから輸入する部品に対して10%の米国関税を支払っているが、これらの部品は最終的に輸出される航空機に使用されるため、コストの回収は可能であると見込んでいる。
現在、ボーイングは最も売れている737MAX機の生産量を1月の水準から倍増させ、規制当局が設定した月産38機の上限に引き上げる計画を進めている。
オルトバーグ氏は昨年、ボーイングの指揮を執るようになり、生産量を慎重に増加させる方針を掲げた。同氏はアナリストに対し、現在の737の月産量は30機をわずかに超えており、数か月以内に月産38機の上限に達すると説明した。
「キャッシュフローの創出には、737MAXの生産能力を継続的に強化することが鍵である」と、オルトバーグ氏は語った。
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