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日本学術会議「独立した法人」法案 衆院内閣委で参考人質疑 賛否両論が交錯

2025/05/07
更新: 2025/05/07

日本学術会議を国から独立した法人とするための法案について、5月7日、衆議院内閣委員会で参考人質疑が行われた。法案は、現在「国の特別の機関」とされている日本学術会議を廃止し、独立した法人格を持つ新たな組織として設立することを目的としている。

参考人として出席した筑波大学の永田恭介学長は、法案の理念について「世界最高のナショナル・アカデミーを目指すという理念に大いに賛同する」と述べ、組織の自主性や自律性を高めるために必要な法案であると強調した。永田氏は、現行法にある「独立して職務を行う」という文言が法案で踏襲されていないことについても、「法人化によって国から独立した法人格を持つことが明確になり、むしろ独立性は高まる」との見解を示した。

一方で、法案には強い懸念も示された。日本学術会議の前会長・梶田隆章氏は、「法案は国が運営を厳しく監視する仕組みを持っており、過剰な監視が独立性や自律性に対する懸念を生む」と指摘し、再考を求めた。また、日本弁護士連合会や日本教育学会などの団体も、法案には政府による外部からの介入や監督の仕組みが盛り込まれていることから、学術会議の独立性や自律性が損なわれるおそれがあると反対の声明を発表している。

具体的には、外部から任命される「評価委員会」や「監事」などが新たに設置されること、活動計画や予算の作成などに政府の関与が強まることが問題視されている。また、現行法の前文にあった「平和的復興」などの理念が新法案では削除されている点も、学術会議の役割や歴史的意義を損なうとして批判の声が上がっている。

政府側は、法案作成にあたり有識者懇談会の議論や学術会議の意見を踏まえ、日本学術会議の独立性や自主性に配慮した制度設計を行ったと説明している。会員の選考や運営の詳細は学術会議に委ねるとしており、政府による関与は必要最小限にとどめる方針だと強調している。

しかし、法案に対する反対や慎重審議を求める声は根強く、学者や市民団体によるオンライン署名も2万3000筆以上集まっている。今後の国会審議では、学術会議の独立性と国民への説明責任の両立をどう図るかが大きな焦点となる見通しだ。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。