自民党の積極財政を推進する有志議員が8日午前、党本部で森山裕幹事長と面会し、食料品などにかかる消費税の軽減税率を恒久的にゼロ%にするよう求める提言を手渡した。提言には党所属の69人の議員が賛同している。
提言では、物価高騰やアメリカのトランプ政権による関税措置の影響を踏まえ、「単発的な給付を繰り返すだけでは国民の消費意欲が高まらず、デフレからの完全脱却の機会を逃す」と指摘。現在8%となっている食料品などへの軽減税率を恒久的にゼロ%へ引き下げることを柱とした。税収の不足分は年間5兆円と見込まれるが、当面は新規国債の発行で対応する考えを示している。
また、経済情勢に応じて消費税の標準税率を機動的に変更できる仕組みの検討も求めた。提言をまとめた中村裕之衆院議員は「消費税減税は、個人消費が低迷している現状で非常に重要だ。税制調査会での議論に全力を尽くしたい」と記者団に語った。
これに対し森山幹事長は、「新たな日本国債が容易に売れる状況ではないことも念頭に置く必要がある」と述べ、党の税制調査会で消費税について議論する場を設ける考えを示した。ただし、党執行部を中心に消費税減税には慎重な意見も根強い。
今後、提言は石破首相にも申し入れられる予定であり、自民党内での議論が本格化する見通しである。
消費税の軽減税率とは
消費税の軽減税率とは、消費税率が2019年10月に8%から10%へ引き上げられた際、生活に必要な一部の品目については税率を8%に据え置く制度である。主な目的は、消費税が所得に関係なく一律で課税されるため、低所得者ほど負担が重くなる「逆進性」を緩和し、生活必需品の購入時の負担を軽くすることにある。
軽減税率の対象となるのは、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」である。
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