厚生労働省が5日に発表した2025年4月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、物価の変動を反映した1人当たりの実質賃金は、前年同月比で1.8%減少し、4か月連続のマイナスとなった。名目賃金(現金給与総額)は引き続き増加しているが、食料品や光熱費など生活に欠かせない品目の値上がりが続き、賃金の伸びが物価上昇に追いついていない現状が明らかになった。
4月の現金給与総額は平均30万2453円で、前年同月比2.3%増となり、40か月連続でプラスとなった。基本給を示す「所定内給与」も同2.2%増の26万9325円と、42か月連続で増加している。しかし、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く)は同4.1%上昇しており、賃金の伸びを上回るペースで物価が上がっているため、実質賃金は減少を続けている。
政府や企業は、2024年の春季労使交渉(春闘)で大幅な賃上げを実施し、2025年も多くの企業が賃上げを予定している。しかし、物価高騰の影響で労働者の生活水準は十分に改善していない。厚生労働省は「物価高に賃金の伸びが追いついていない。今後の動向を注視する」とコメントしている。
背景には、コメなどの食料品や光熱費といった生活必需品の価格上昇がある。日銀の展望レポートでも、2025年の物価上昇率はおおむね2%前後と予測されているが、地政学リスクや原材料価格の高騰など、国内外の要因が物価に影響を与えている。
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