イスラエルとイランの軍事衝突は激しさを増し、双方の国土を標的とした攻撃が連日続いている。
15日、イスラエル軍はイランの首都テヘランに対して大規模な空爆を実施した。攻撃の対象には、国防軍需省や革命防衛隊の関連施設を含む市内の80か所以上が含まれている。
これに先立つ14日には、イラン南部沖合に位置する世界最大級の天然ガス田「サウスパース」が攻撃を受け、一部の施設が操業を停止している。これにより戦火はエネルギーインフラにまで波及し、これまでに224人が死亡した。
イランは長らく石油輸出に依存してきたが、近年は天然ガス、とりわけサウスパースからの収入が重要性を増しており、制裁下における経済維持の要とされている。サウスパースはイランのガス生産の中心であり、封鎖や被害は国家財政に深刻な影響を及ぼす。
イスラエルによる攻撃は東部地域にも波及しており、空爆の範囲はイラン全土に広がっている。これに対し、イランは報復として多数のミサイルを発射。その一部は、世界最強の迎撃システムとされる「アイアンドーム」を突破し、イスラエルの主要都市テルアビブなどで複数の建物に命中。現在までに14人の死亡が確認されている。
こうした状況は、世界経済にも大きな波紋を広げつつある。エネルギー供給への懸念が高まり、各国が対応を急いでいる。
6月13日には、イランの要請を受けて国連安全保障理事会が緊急会合を開催。各国は双方に対し「最大限の自制」を求めたが、議論はイスラエルとイランの激しい応酬によって平行線をたどった。
国際社会の対応も分かれている。アメリカは常任理事国としてイスラエルへの支持を改めて表明する一方、中国共産党政権は王毅外交部長が電話会談においてイランへの支持を明言した。中東における緊張の高まりは、地政学的バランスを大きく揺るがしつつある。
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